時事

トランプ政権がファーウェイを締め出したことについて、日経が下記の記事を書いています。ここには、富士通やパナ、ソニーなどが名前を連ねていますが、当然、そのサプライチェーにも害が及びます。

ファーウェイ、世界92社から調達 制裁で打撃必至

2019/5/16

【広州=川上尚志】米商務省が15日、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)への事実上の輸出規制を決めたことで、同社の経営への打撃は避けられない見通しだ。同社は海外企業から670億ドル(約7兆円)前後の部品を調達、米国から年間で100億ドル規模の部品を輸入しているとされ、特に基幹部品の半導体で米企業に頼る部分が大きい。主力のスマートフォン(スマホ)や通信会社向け通信機器で今後の生産が難しくなる可能性がある。

ファーウェイが18年末に公表した主要取引先リストには世界の92社が並ぶ。このうち米国は30社を超え、地域別で最大だ。クアルコムやインテル、ブロードコムといった半導体大手が目立ち、マイクロソフトやオラクルなどソフトウエアやシステムの大手も含まれる。米商務省が事実上の禁輸を課したことで、ファーウェイはこれらの米企業との取引ができなくなる。

特に影響を受けるのが半導体の調達だ。ファーウェイは自前の半導体設計会社である海思半導体(ハイシリコン)を擁するほか、スマホに使う半導体の約5割を自給できているとする。ただ通信分野で多くの特許を持つクアルコムの半導体などは代替が難しいものもあり、ファーウェイの一部のスマホ機種の生産は難しくなりそうだ。

日本や台湾など米国以外のメーカーにも影響が及ぶ可能性がある。米国外で生産された製品でも、米国製の部品や技術が一定割合以上使われていれば禁輸措置の対象となるためだ。ファーウェイには富士通やソニー、東芝メモリ、パナソニック、村田製作所なども電子部品やカメラを納入している。

ファーウェイのある社員は「スマホよりも通信会社向け機器への影響が大きい可能性がある」と打ち明ける。同社は次世代通信規格「5G」用の基地局など通信機器を世界で拡販しており、欧州やアジア、中東などの通信会社と5Gの商用化に向けた契約を結んでいる。同社の通信機器の生産が止まれば、今後の各国での5Gサービスの展開が遅れる可能性もある。

米国は18年4月、ファーウェイの同業である中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)にも米企業との取引を3カ月禁じる制裁を科した。同社は半導体が調達できないことで業務停止に陥った。

ファーウェイは米国からの圧力の高まりを受け、18年から部品の在庫を積み増しており、すぐさまスマホや通信機器の生産が難しくなることはないとみられる。任正非・最高経営責任者(CEO)は1月、仮に米国から制裁を受けても「当社はZTEのようにはならない。制裁があっても影響は大きくない」と説明していた。

ただ米国が実際に制裁を発動したことで、ファーウェイも対応を迫られるのは確実だ。任氏は「米国の制裁があったら自ら代替製品を生産する」とかねて述べており、米国以外からの調達拡大と合わせて、半導体などの自社開発を強化する見通しだ。ただ年間売上高は約12兆円に及ぶ巨大企業であるため、米国抜きで十分な部品を確保できるか不透明感が強い。

しかし、翌17日には、ファーウェイが今回の禁輸措置を見越して事前に調達準備をしていたと報じられます。

ファーウェイ傘下ハイシリコン、米取引規制を想定し以前から準備

Reuters Staff

[上海 17日 ロイター] - 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]傘下のハイシリコンは、いずれ米国から半導体やその他の技術を入手することができなくなる「極端なシナリオ」を以前から想定し、影響を緩和するための準備をしてきたと明らかにした。

大半の製品は安定供給が可能だとしている。

ハイシリコンの社長室による書簡を中国国営メディアが17日に報じた。ファーウェイはロイターに対し、ハイシリコンのコメントであることを確認した。

ハイシリコンは主にファーウェイ製品の半導体設計を行っている。

書簡は、米政府がファーウェイへの事実上の輸出規制を決めた直後にハイシリコンの何庭波総裁が従業員に送付したもの。

書簡によると、ハイシリコンは、ファーウェイが米国から最新の半導体や技術を入手できなくなる事態に備え、数年前から秘密裏にバックアップ製品の開発を進めてきた。

これにより、大半の製品は安定供給が可能で、「戦略的な安全性」を確保できるという。

同総裁は、ファーウェイが技術の自給自足を目指すとも表明。「金庫にあるすべてのスペアタイヤ」を活用する時が来たと述べた。

ファーウェイは、すでに高価格帯のスマートフォンにハイシリコンが設計したチップセット「Kirin」を搭載している。米国のクアルコム(QCOM.O)や台湾のメディア・テック(聯発科技)(2454.TW)のチップセットも利用している。

ファーウェイの徐直軍・輪番会長は3月のロイターとのインタビューで、ハイシリコンが昨年75億ドル以上に相当する半導体を製造したことを明らかにしていた。ファーウェイが外部から調達した半導体は推定210億ドル。

ファーウェイの広報担当は、調達が禁じられた米国製部品の代わりにハイシリコンの製品を利用できる場合は利用するとコメントしたが、詳細は明らかにしなかった。

強硬手段に出るアメリカ、それを見越した準備をしていた中国、それに対し日本では、やはり経営者も平和ボケしておる様子で下記の記事を時事通信が出しています

ファーウェイ排除、影響懸念=米制裁、情報収集急ぐ-日本企業

5/17(金) 7:21配信

 米国が、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と米企業の取引を原則禁止する方針を打ち出したことで、日本メーカーは情報収集に追われた。ファーウェイ製品には日系企業の部品が多く使用されている。日本政府が米国に追随するなど影響が広がり、取引がストップすれば業績に打撃となりそうだ。

 米商務省は15日(米国時間)、米企業が政府の許可なくファーウェイに部品を供給するのを禁止する措置を発表。違反した場合、制裁金を科される恐れがある。

 規制の直接的な対象は米企業だが、日系各社がファーウェイに供給している製品の中に米国製の部品が使われていた場合も制裁の対象になるのかなど、確認が必要な項目も多い。

 今回の措置についてパナソニックは「内容を確認中」(広報部)と説明、京セラ担当者も「特定の取引先のコメントはできないが、状況を注視している」と話した。ジャパンディスプレイは「われわれの製品に米国製部品を組み込んで納入する場合もダメだと言われたら困る」と困惑気味だ。

 ファーウェイのスマートフォンや通信会社向けの基地局には京セラ、村田製作所、住友電気工業を含む日本企業の電子部品などが使われている。2018年の購入額は66億ドル(約7200億円)で、19年には80億ドル(約8700億円)に達する見込みだ。 

今回の日本企業の対応を見ると、「赤信号、みんなで・・・」という経営陣の状況認識の甘さが目につきます。日本電産の社長は早くに「異常事態」と発言していたにもかかわらず、経団連企業は何なんでしょうね。早く、世代交代されたほうがいいんじゃないですか