時事

下記はWSJのコラムです。アメリカによる対中政策により2019年の中国は何一ついいことがありませんでしたが、2020年は下記の記事など遥かに超える津波が中国を襲い、それは今後10年、15年、つまり、習近平が国家主席でいる間は持続します。中国は生かさず殺さず、じわじわと殺されていき、中国に日和る韓国、日本の一部も木っ端微塵になります。詳しくは、久しぶりに一か月ほどに渡り連載しますが、アメリカという国は恐ろしい国だということを世界は再び思い出す一年になります。




2020年の中国:高まる債務リスク

貿易リスクは後退、課題は金融システムの維持

Nathaniel Taplin

2019 年 12 月 30 日 14:11 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 中国にとってひどい年がようやく終わろうとしている。今年はいいところが1つもない、最悪の1年だった。来年は順調なスタートを切りそうだが、一見、穏やかな水面の下には厄介な氷山が潜んでいる。

投資家は富士康科技集団(フォックスコン)など貿易関連株にチャンスを見いだすかもしれない。しかし2019年はなんとか回避したものの、2020年は中国の金融が深刻な混乱に見舞われる危険性が高まっている。

 ほとんどの投資家は気づかなかったが、自動車や電子機器など中国経済の主要分野は2019年の終わりの時点で既に好転していた。自動車業界は2018年から2019年のほとんどの期間、深刻な停滞から抜け出せずにいたが、11月の自動車生産は昨年6月以来、初めて前年同期比でプラスとなった。スマートフォンや半導体の世界販売が再び増加し、中国の電子機器メーカーの利益もここ数カ月、大きく回復している。

 さらに中国は今月、貿易問題で米国と合意。電子機器メーカーの業績改善のおかげで既に始まっていた労働市場の回復が確実になるだろう。

 その他の2つの主要分野の見通しはそこまで楽観的ではない。不動産業界は住宅市場と共に利益の伸びが急激に鈍っており、それが鉄鋼など建設に依存する業種に集中する国有製造業者を圧迫している。不動産業界と国有セクターはインフラ業界と並び、中国で債務負担が最も大きいセクターでもある。

 2019年には外国人投資家が民間セクターで相次いだ債券のデフォルト(債務不履行)に動揺した。しかし中国の社債に占める民間企業の割合は約10%と小さいため、中国の債券市場全体への悪影響は回避できた。2020年はそうした状況に変化が起きるかもしれない。10月までの1年間の国有製造業者の総資産利益率(ROA)は2016年以降で最も低い3.7%にとどまり、6%近い銀行の平均貸出金利を大きく下回っている。

 同時に、多額の債務を抱えた不動産開発業者は影の銀行(シャドーバンキング)の取り締まりで資金が調達できなくなり、完成前の住宅を販売するプリセールへの依存度を高めている。不動産市場が冷え込めば、そうした資金源が干上がり始める恐れがある。

 中国政府は米国との貿易戦争をなんとか引き分けに持ち込んだ。2020年の最大のリスクは政府が「任務完了」を宣言して、弱体化した国有製造業者や地方政府、不動産開発業者が妥当な金利で債務の借り換えができるようにするための積極的な行動を怠ることだ。過去の金融緩和サイクルと比べて、銀行の平均貸出金利はわずかに下がっただけで、与信の伸びは再び勢いを失い始めている。

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 このように中国経済の中で最も債務負担が重いセクターの利益率が悪化しているが、大手銀行からの借り入れに頼る多くの小規模銀行も資本不足に直面し、支払い能力が疑問視されている。銀行間市場での債権者が担保としての小規模銀行の社債の価値に疑問を抱くようになれば――今年の夏、包商銀行の国有化後にそうした事態が起きた――、小規模銀行の短期借り入れコストは急激に上昇する可能性があり、中央銀行の支援なしでは全く借り入れができなくなる銀行も出てくるかもしれない。

 全体として、2020年は苦しみつつも競争力のある中国の輸出業者にとっては今年よりもましな1年になりそうだ。しかし多額の負債を抱えたセクターにとっては、状況は今年よりも悪化する可能性がある。 規模の小さい民間企業の多くは自社製品への需要が安定しているにもかかわらず、今も高い借り入れコストに苦しんでいる。

2019年が貿易一色の1年だったとすれば、2020年は今にも崩れそうな中国の金融システムを維持する1年になるだろう。