時事

下記は、ビンセント・ブルックス前在韓米軍司令官への朝日新聞のインタビュー記事です。ここで述べられている通り、また、このブログでも再三指摘してきた通り、2017年に米軍は北朝鮮への先制攻撃準備をしていました。2017年の日本の国会では、文科省の天下り問題が噴出し前川元事務次官が辞職。テロ準備罪の審議を巡り紛糾。自衛隊の日報に「戦闘」という言葉が乗っていたと野党が追及などなど、平和ボケした国益を害する国会運営がなされていた時、一歩間違えば北朝鮮との戦闘に日本も巻き込まれていたのです。常々思うことは、国会は、「日本の平和と安全保障、国民の生命、資産を守るために運営」するのであって、スキャンダルの暴きあいをする場所ではありません。予算も国益のために存在するのです。

米軍が下記のような臨戦態勢に入っているときに、日本は平和ボケのお花畑にいて、韓国は敵対する北朝鮮へ情報漏洩。アメリカから見れば、「なんでこんな国々をアメリカ人が命を張って守らなあかんの!?」って思っていたでしょう。

そして、下段はロイターの記事。その下も同じです。北朝鮮が米朝合意を破棄して核とミサイルの開発を宣言。それに伴い米軍は日本海に空母3隻を配備している現状の記事です。しかし、20日から始まった国会では、桜を見る会、IR疑惑など、中身が空っぽの国会が始まっています。法律違反があるなら貴重な時間の国会ではなく裁判所でやってください。日本は三権分立の民主主義国家なんですから。

狭い日本海にアメリカの大型空母が3隻もいる現状を、日本の国会議員はどのように受け止めているのでしょうか?



北朝鮮情勢緊迫の17年「戦争起き得た」 元米軍司令官

聞き手・園田耕司

2020年1月19日 6時00分

 北朝鮮情勢が緊迫した2017年、米韓連合軍の指揮もとっていたビンセント・ブルックス前在韓米軍司令官(元陸軍大将)が朝日新聞のインタビューに応じた。「北朝鮮の読み違えによって戦争は起き得た」と、一触即発の危機を振り返りつつ、米朝が今後も対話路線を続けることの重要性を訴えた。

 ――17年秋は北朝鮮情勢が緊迫した。

 「17年から18年初頭は米韓合同軍事演習時に米軍3万4千人が韓国に集結し、韓国軍62万人も合わせて即応態勢を整えていた。我々は当時、すべての軍事行動の選択肢を検討していた。先制攻撃や単独攻撃が実際に必要かどうかは別として、どちらの選択肢も検討する必要はあった」

 ――戦争の可能性をどうみていたか?

 「18年2月には韓国で平昌冬季五輪があり、多くの国が関心を寄せていた。各国大使らに問われた際は『我々の目的は戦争ではない。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の考え方を変え、外交的な路線を定着させるのが目的だ』と答えつつ、『この現実と深刻さを過小評価してはいけない。意図してではなく、読み違えを通じて戦争は起き得る』と率直に伝えていた」

 ――当時、米国市民の安全を確保する策は?

 「ワシントンでは、複数の米政府当局者や上院議員、退役将校らが『戦争が始まる方向であるならば、米軍は米国市民を退避させる責任がある』と考えていた。トランプ米大統領も同様の考えを持っていた」

 「我々には当然、戦争になるのであれば、米国市民を早期退避させる義務がある。ただし、北朝鮮に対話のドアは開いているというシグナルを送る努力をするならば、今は早期退避行動を取る時期ではないと判断した」

 ――退避行動が戦争の引き金を引くと?

 「我々は(戦争に)非常に近い状況にあった。どちらも望んでいなくても、読み違えによって容易に戦争に至る可能性があり、熟考して行動する必要があった」

 ――当時は米研究機関などで戦争が起きた場合、韓国や日本で数百万人単位の犠牲者が出るという予測が相次いだ。

 「率直に言えば、私はこれらの犠牲者数の予測を信用していない。現実に弾道ミサイルが北海道上空を2回飛ぶなど、日本や韓国の市民に被害が及ぶ危険があった。ただ、正恩氏の目的は都市破壊ではない。攻撃で恐怖とパニックを引き起こし、米国との同盟関係に圧力をかけるためだ。正恩氏は戦略的にものごとを考えている。都市の全面壊滅のために兵器を使えば、正恩氏の未来はない」

 ――金正恩氏は最終的に対話路線へとかじを切った。

 「我々が米韓合同軍事演習を五輪後に後ろ倒ししたことで、五輪は大きな成功を収めた。それが米朝対話にドアが開かれることにもつながったと思う」

 ――正恩氏は昨年末、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の一時停止に縛られないと宣言した。

 「宣言は必ずしも、核実験やICBM発射の再開を意味するわけではないと思う。『我々が再開しないのは、その手法を選べるけれども選んでいないからだ』という点を強調することにある。米朝対話を前に進めるため、圧力をかける狙いだとみている」

 ――米国の専門家の中には「米朝交渉はすでに失敗した」という見方もある。

 「私はその見方に同意しない。今は17年当時の北朝鮮の瀬戸際外交とは異なり、米朝当局者同士のコミュニケーションのチャンネルが存在する。正恩氏は対話の道を閉ざしていない」

 ――停滞する米朝交渉を前に進める方策はあるか?

 「米朝の政治指導者レベルでお互いへの敬意を維持し続けることが重要だ。米朝実務協議が前に進むように、北朝鮮に正しい圧力をかけることも必要だ。正恩氏の言動に過剰反応するべきではない。今は軍事的にエスカレートする状況ではない」(聞き手・園田耕司)



北朝鮮、核開発中止の撤回発表 米国の制裁継続に「新たな道」も

2020年1月22日(水)08時00分

北朝鮮は21日、米国が米朝非核化協議の期限を無視したとし、核実験や大陸間弾道ミサイルの発射を中止する約束にもはや縛られる必要はないと表明した。「新たな道」を模索する可能性にも言及した。

北朝鮮外交官の朱勇哲氏は、国連軍縮会議の席で、北朝鮮がここ2年間にわたり「米国との信頼関係を築くため」核実験と大陸間弾道ミサイルの発射を停止してきたが、かたや米国は米韓合同演習や対北朝鮮制裁で応じていると発言した。

その上で「米国は、北朝鮮の発展を阻止し北朝鮮の政治体制を破壊する野心を変えないことが分かった。先方が守らない約束をこちらが一方的に守らないといけない理由はない」と表明。また、米国は「最も残忍で冷酷な制裁」を科していると非難し、「米国がこのような敵対的政策を続けるのであれば、朝鮮半島における非核化は永久に実現しない。米国が一方的な要求を押し付け、制裁に固執するのなら、北朝鮮は新たな道を模索せざるを得ない」と主張した。

これに対し、ウッド米軍縮大使は北朝鮮が道を誤るべきではないと警告。「北朝鮮が正しい事を行い、交渉のテーブルに復帰し、トランプ大統領と金委員長が約束した事柄を守るために努力するよう望む」と述べた。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は米国との非核化協議の期限を2019年の年末に設定していた。

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は先に、協議再開を打診したと明かし、金氏がトランプ米大統領との首脳会談での非核化を巡る約束を守ることを望んでいると述べていた。

北朝鮮は昨年12月、米国が交渉の態度を改めない限り「新たな道」を模索する可能性があると表明。「新たな道」の詳細は明らかにしなかった。米国の軍関係者は、北朝鮮が17年から停止していた長距離ミサイルの発射の再開や核弾頭実験を可能性として挙げている。

北朝鮮は一方的な軍縮には反対している。世界的な非核化は支持する姿勢を示しているものの、それ以上の意欲があるかどうかは明確にしていない。

北朝鮮はこれまでの非核化協議で、米国が駐韓米軍を撤退させ、韓国と日本における米国の「核の傘」を撤去することで安全保障上の保証を与えるのであれば、北朝鮮が核兵器を持たないことを検討すると発言してきた。

朝鮮戦争(1950─53年)は休戦状態にあるため、北朝鮮と韓国は厳密には依然として敵国関係にある。18年に韓国で開催された冬季オリンピックの後に関係が修復し始めたが、それまでは北朝鮮はたびたび、韓国の主要な同盟国である米国を破壊すると脅かしてきた。

[ジュネーブ 21日 ロイター]



韓半島近隣に米原子力空母3隻集結…「北・イランが問題起こせば対応も」

米国が原子力空母「セオドア・ルーズベルト」(CVN-71)をインド太平洋に派遣した。インド太平洋とは西部太平洋からインド洋にいたる第7艦隊の作戦区域。韓半島(朝鮮半島)がここに属する。これを受け、米国は韓半島近隣に最大3隻の空母を動員できる体制を整えた。この地域で中国を牽制しながら北朝鮮に圧力を加え、必要な場合は中東に投入するという多目的の布石だ。

米海軍によると、第9空母打撃群(CSG)が17日(現地時間)、母港のカリフォルニア州サンディエゴを出港した。第9空母打撃群は「セオドア・ルーズベルト」が旗艦であり、イージス巡洋艦・駆逐艦6隻などで構成されている。「セオドア・ルーズベルト」には90機の航空機・ヘリコプターを搭載できる。また、原子力潜水艦1-2隻が護衛する。

第9空母打撃群は報道資料を通じて「国際法に基づく海上の安全、航行の自由を守り、同盟と友好国の安定・繁栄のための活動を遂行する」と明らかにした。スチュワート・ベーカー提督(海軍少将)は「この空母打撃群は『柔軟な抑止力オプション』と共に『前方で可視的な存在感』を提供する」とし「いかなる任務も直ちに遂行できる『戦闘資産』」と強調した。

「セオドア・ルーズベルト」はもともと東部太平洋を管轄する第3艦隊所属。2017年11月に「ロナルド・レーガン」(CVN-76)、ニミッツ艦(CVN-68)と共に空母3隻が韓半島周辺海域で合同訓練をした。北核危機が最も高まった当時、北朝鮮に対する高強度の武力示威だった。その後、2018年3月まで中東でイスラム国(IS)掃討作戦に参加した。

「セオドア・ルーズベルト」の加勢で米国はインド太平洋に事実上3隻の空母を配備することになった。第7艦隊の「ロナルド・レーガン」は横須賀が母港。米海軍の11隻の空母のうち唯一、本土でなく海外を基地としている。

米海軍が佐世保に配備した強襲揚陸艦「アメリカ」(LHA-6)は事実上の軽空母だ。「アメリカ」は全長257メートルで、満載排水量4万5693トンで、フランスの原子力空母「シャルル・ドゴール」(R-91、全長261.5メートル、満載排水量4万2000トン)と変わらない。垂直離着陸機能を備えた米海兵隊のステルス戦闘機F-35Bを20機搭載できる。

「アメリカ」は13日、海上自衛隊の輸送艦「くにさき」と連合訓練をした。当時「アメリカ」はF-35Bの離着陸訓練を集中的に実施した。

韓国軍事問題研究院のユン・ソクジュン研究委員は「『セオドア・ルーズベルト』は今後インド太平洋での航行の自由作戦で中国を相手にし、北朝鮮やイランが問題を起こせばすぐに対応するとみられる」と説明した。2017年11月当時ほどではないが、韓半島海域に実際に空母3隻が集まるという事実に北朝鮮は負担を抱くという見方が出ている。

峨山政策研究院の申範チョル(シン・ボムチョル)安保統一センター長は「米国は北だけを狙って『セオドア・ルーズベルト』を移動させたわけではないが、北はこれを口実に挑発する可能性がある」と懸念を表した。