考察
現在、日本を含む各国は、新型コロナ危機への対応策を、さまざまに模索しつ幾つかは実行しています。「いくつか」というのは、これから行うべき政策は単なる「第一段階」に過ぎず、今後矢継ぎ早に手を打たなければ生命が失われ経済が陥落するからです。そうした数々の政策手段の中で、感染拡大阻止が政策目標として優先される局面において率先して割り当てられるべきものの一つは、休業に対する十分な所得補償です。というのは、感染拡大抑制のためには休業の促進が必要であると政府が判断するのですから、そのためには個人や企業に対して「休んでもらっても損はさせないようにする」ことが必要だからです。ここが日本政府、特に財務省は全くわかっていません。これほどひどい対応の政府なら政府機関に火をつけて回る輩くらい出てきそうなものですが、日本人は相当テレビや新聞で誤った洗脳がされているのでしょう。少なくとも海外からは、そのようにみられています。自分たちが子育ての時に子供に言っていたことを自分がしてるんですから、「テレビばかり見てたらバカになりますよ。本を読みなさい!」って言ってたでしょ。今の自分はどうですか!?
もう一つの代替的な政策手段には定額給付という手段があり、それは確かに休業で所得を失った生活困難者の救済には役立ちますが、就労の有無とは無関係に一定額が付与される定額給付には、所得補償のような休業インセンティブは存在しません。
日本政府が3月10日に公表した「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策--第2弾」では、あくまでも学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応として、日額上限8,330円の有給休暇助成、フリーランスに対しては日額4,100円の支援が決定されました。しかし、イギリス政府は3月20日に、全英のカフェ、レストラン、バー、パブに対し、同日夜以降指示があるまで休業を続けるよう要請した上で、休業従業員の給与の8割を政府が補償することを宣言しました。この差異をどのように捉えればいいのか日本政府、とりわけ麻生財務大臣に聞いてみたいものです。日本政府も、クラスター・リスクを少しでも減らしたいと考えるのであれば、こうした休業支援をより一層拡充していくことが必要なのは言うまでもありません。
不幸なことに、日本以外の世界各国では、新型コロナ危機への対応ということでは、この感染拡大阻止という政策目標がより緊急度を増しており、経済それ自体は「いわば二の次三の次」になっています。しかしながら、感染拡大阻止という政策目標がいったん達成されたあかつきには、局面は大きく反転するでしょう。というのは、その段階では、政策目標それ自体を、それまでは意図的に抑制されていた経済活動をいち早く正常化することに移していかなければならないからです。
この局面で割り当てられるべき政策手段は、基本的には景気対策と同様なマクロ的需要拡大政策です。というのは、生産拠点が物理的に大きく毀損されるような戦争や震災とは異なり、今回の感染病による供給能力の毀損それ自体はきわめて軽微にとどまるからです。憂慮すべきはむしろ、経済活動の抑制を強いられ続けたことによる人々の消費マインドの萎縮で、この経済正常化の局面では、政府は、定額給付や消費減税といった経済回復のための思い切った需要拡大政策を、間髪入れずに行う必要があります。
ただし、今回の新型コロナ危機に関しては、通常の景気対策をやればそれで十分とは必ずしも言えません。というのは、感染拡大抑止局面での経済収縮は、とりわけ旅行業、飲食業、観光業、スポーツ・演劇・音楽イベント業のレジャー・エンターテイメント産業に集中しているからです。仮に日本国内で感染拡大が収まったとしても、海外の状況を見れば、当面はそれら産業へのインバウンド需要の回復はまったく望めそうもありません。また、東京オリンピックの延期によって、国内の観光レジャー産業全体が壊滅的な打撃を受けることは明らかで、それに対しては、これらの業種への軽減税率や商品券といった、一般的な景気対策以外の政策手段を別に割り当てる必要があります。
続く...。
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