時事

ドイツ首相のアンゲラ・メルケル氏は、日本のオールドメディアがお気に入りの人物の1人であり、ことあるごとに持ち上げます。最初にハッキリ言いますと、ボクはメルケルが昔から大嫌いで、この人がドイツの有力者になったらえらいことになると思っていたら、あれよという間にトップに立ちました。

例えば、コロナが欧州で爆発的に流行しはじめた3月18日に行われたテレビ演説は絶賛され、日本の安倍首相も見習うべきだとの論調がオールドメディア、特にテレ朝(笑)。にあふれかえりました。

確かに安倍総理の演説が達人だとも思いませんが、我々国民は「口(演説)のうまい人間」をリーダーにすべきなのでしょうか。

ドイツの演説の名手といえば、ナチスを率いたアドルフ・ヒットラーです。天賦の才能はもちろんのこと、「鏡を見ながら手ぶり身振りの練習を繰り返した」という地道な努力によるところも大きいと言われました。

さらには、宣伝相に「現在の広告マーケティングの基礎を築いた」と評される天才ゲッペルスを起用したことも効果的で、この演説とプロパガンダ(広告)によって、ドイツ国民を熱狂の渦に巻き込んだ手腕は特筆に値します。

しかし、その結果ドイツがどのような道を歩み、ヒットラーを含むドイツ国民がどのような結末を迎えたのかは、改めて語るまでもなく、その後の反ナチスは逆走しすぎて歪んでいます。

聴衆が演説の内容そのものから受ける影響はせいぜい1割程度で、9割は話者の身振り手振り、表情、声の調子、さらには会場の他の聴衆の態度によるものだ言われます。つまり、演説と言うのは「中身」ではなく「雰囲気」で勝負するものなのです。

何を言わんかといえば、「演説(口)がうまい政治家」は最も警戒すべきということが歴史の教訓であるということです。アメリカでもオバマの演説は絶妙でしたが、中身は空っぽでした。安倍総理に、演説(口)が上手になるよう練習を求めるのは全く無意味で、我々日本国民にとって大事なのは、「どのようなことを実行し、どのような結果を出すか」、それのみです。

メルケル氏は、16年間にもおよぶ任期の間、表面的にはドイツを先進国のリーダーとして維持してきたように見えますが、実はドイツをどうしようもなく悲惨な状況に追い込んだ戦犯なのです。

安倍総理の通算在職日数は2019年11月20日で計2887日となり、明治、大正期に首相を3回務めた桂太郎の2886日を超えて憲政史上最長となりました。

記録更新は約106年ぶりですが、2887日ということは たったの8年ほどでしかありません。

また、自民党の総裁任期は連続2期6年であったものを、連続3期9年に改正しましたが、さらにこれが延長されなければ安倍政権は近いうちに終わります。

それに対して、ソ連崩壊後、一応普通選挙が行われているロシアのプーチン氏は、第2代大統領(在任2000年 - 2008年)、第5代および第9代政府議長(首相)(1999年 - 2000年、2008年 - 2012年)第4代ロシア連邦大統領(2012年5月7日~ )の座にあり、首相時代も傀儡大統領を顎で使っていたから実質20年にもわたる政権で、さらに永年大統領へ布石を打っています。

プーチン氏にはさすがに及びませんが、メルケル首相も2005年から現在まで15年間、2021年の任期まで数えれば16年間首相の地位にあることになります。いったい、ドイツ人のバランス感覚はどうなっているのでしょうか。

2021年での退任を表明したのは、2018年10月の総選挙でキリスト教民主同盟(CDU)が惨敗した責任をとるためですが、新型肺炎で世の中が様変わりしている現在、「国難を救うために続投する」と言いだす可能性もあるように感じます。「国難」を口実に権力を掌握するのは独裁者の常とう手段です。

オールドメディアは安倍総理をまるで独裁者のように言いますが、安倍氏を含む日本の歴代首相など可愛いものです。

意外に日本国民が知らないのが、メルケル氏が旧東ドイツで育ったということでです。

生まれたのは(西ドイツの)ハンブルグですが、1954年に、生後数週間のメルケル氏は両親と共に東ドイツへ移住。ベルリンの壁建設は1961年ですからら、当時はまだ東西の往来ができた時期で、ベルリンの壁建設以降、1989年の崩壊まで幼少期・青年期を含む30年以上の間「マルクス・レーニン主義」をたたき込まれた政治家がドイツの、EUの中心人物だということです。東ドイツで「マルクス・レーニン主義教育」を受けたメルケル氏はロシア語が堪能です。逆にKGB時代に東ドイツで勤務していたプーチン氏はドイツ語が堪能です。首脳としてほぼ同時代を生ききた2人の間柄は親密だと考えるのが自然で、2人が「何語で何を会話するのか?」という疑問は、ウォチャーたちの興味の的になっています。

東ドイツで育ったからと言って、共産主義的思想を持っているとは限らないと左翼主義者は語りますが、わざわざ西側から東ドイツに移住する両親の下、東ドイツの共産主義教育の洗礼を受けた人物が、影響を受けていないと考える方が不自然です。

プーチン氏と馬が合うのも、政治・信条の共通項が多いからと考えるべきです。

また、欧州には媚中派が多いのですが、その中でもメルケル氏に媚中的行動が目立つのは、共産主義国家に対する共感が原因と考えるべきでしょう。ドイツが共産主義中国を応援するのも至極当然ですし、ドイツが盟主であるEUが左傾化することも後押していると考えるべきです。

また、環境を始めとしてリベラル(偽装共産主義)的政策を強力に推進する理由もそこにあるのではないでしょうか?

ファシズムや共産主義のような「反民主主義」は、リーダーの演説やプロパガンダが優れていまし、口下手な習近平は拡声器のようなスポークスマンを使います。なぜかといえば、その実態が国民を虐げるシステム(組織)であるから、国民の関心を引くために「見た目を良くすること」に注力しなければならないのです。

つまり、粗悪な商品を立派な箱とリボンで飾り立てる「中身がガッカリな商品」ということで、上記に挙げたオバマ前大統領はその典例です。

振り返れば、東西ドイツ再統合がドイツ没落の始まりでした。1990年に「ドイツ再統一条約」が調印されて、東西ドイツは統合されましたが、この莫大な統合コストは西ドイツ国民が負担し、東ドイツ国民はただその恩恵を被ったというのが実態です。その実態をごまかすがためにメルケル氏はきれいごとばかりを言うのです。それにも関わらず、旧東ドイツ国民のかなりの数が「共産主義時代への回帰」を望んでいるとドイツの報道がなされています。

大きな理由は旧東ドイツ地域の所得がいまだに旧西ドイツ地域に及ばないということだと言われますが、格差と言っても旧西ドイツの80%は維持しており、統合前の旧西ドイツの25%程度と言われた旧東ドイツの水準からは劇的に改善しています。

しかし、壁で隔てられていた時代の西ドイツの情報はほとんど伝わらなかったから、東ドイツでは、親類縁者、友人、さらには隣近所(党幹部は別です……)も、みんな25%水準であったから気にも留めなかっただけで、共産党幹部を除くみんなが平等に貧乏であったというのが事実です。

ところが、ドイツ国民として一緒になるとごくわずかの格差でも気になり、望ましいのはその「格差を埋めるべく懸命に努力する」ことですが、世の中の(特に共産主義教育を受けてきた)人々はそのように考えません。

「持っている奴が出せばいいだろ!」と、他人の努力の成果である資産を分捕ることを何とも思わないのです。裕福で成功した人々が社会に還元するのは当然ですし、その中には貧しい人々を支援することも含まれますが、他人の懐をあてにする人々ばかりがのさばったら国家は発展しませんし、1989年~91年に共産主義が崩壊したのもそれが原因です。

安倍総理はメルケル氏と馬が合いません(笑)。メルケル氏も日本を重要視していません。当然、トランプ氏はメルケル氏を無能だと思っていますし、メルケル氏はトランプ氏を憎悪してると言っていいでしょう。しかし、事を国際公約で見ると、約束を守っているのは安倍、トランプ側であり、メルケルはまず約束を守ることから始められたらいかがでしょうか。そのうえできれいごとを言ってください。