中国の現状
続き。
中国は英連邦の「宗主国」であるイギリスとも険悪な関係になっています。前述の香港国家安全維持法の成立を受け、イギリス政府は300万人の香港市民に対し英国の市民権や永住権の申請を可能にする方針を表明。中国政府はそれを「重大な内政干渉」だと非難し、方針の撤回を求めましたが、イギリス政府は中国側の反発を完全に無視。そして7月14日、ついに5G関連の設備からファーウェイを排除すると決めました。これはファーウェイだけでなく、中国政府にとってもまさに顔面直撃のパンチで大きな外交的失敗となりました。イギリスはEU離脱とはいえ、EUの多くの国はイギリス資本をはじめとする金融に支えられていますから、イギリスが反旗を翻したということは、EUの3割から4割の国が中国に反旗を翻すとみていいでしょう。特に、一対一路の要所に当たる東欧諸国は、イギリスの金融機関に足を向けて寝れません。
アジアに目を転じても、中国と一部周辺国との関係に摩擦や紛争が生じています。昨日書いた通り、中国は尖閣と沖縄本島を盗りに来てます。中国当局の公船が94日連続で日本の尖閣諸島周辺の接続水域に入っており、2012年9月の尖閣国有化以降で連続日数の最長を更新しました。
日本の自民党内でも中国に対する反発が高まり、7月8日には習近平国家主席の国賓訪日中止を要請する決議案が党外交部会で可決され、首相官邸に提出された。もちろん中国政府は反発を強めていますし、媚中派の二階グループは「先人の努力をないがしろにする気か!」と恫喝したようですが、その「先人」が田中角栄元総理以降、すべて間違っていたのです。
中国はまた、アジアのもう1つの大国であるインドと本格的な国境紛争を起こしています。6月中旬、国境地帯で中印両国の軍隊による殴り合いの「準軍事衝突」が起き、インド軍側に20名の死者が出たと発表されました。その結果、インド国内の反中感情が急速に高まり、中国製品ボイコットの動きや対中関係見直し論がインド全体に広がっています。これは中国が意図的に行ったもので、武器ではなく殴り合いで行うために、わざわざ格闘家出身の人民解放軍兵士を戦線に配備していたとCCTV(中国国営放送)が自ら報道しています。
以上、最近の中国と世界・アジア主要国との関係の現状を点検してみましたが、中国は今、世界最強の超大国であるアメリカだけでなく、先進国のイギリス、カナダ、オーストラリアやアジア主要国の日本・インドとも「闘争」を展開しています。これほど多くの「敵」に囲まれて「奮戦」している中国の国際環境は、まさに中国発の四字熟語である「四面楚歌」に近い状況で、「孫氏の兵法」すら学んでない習近平らしいものです。上述の共産党元高官の周力氏が「外部環境の悪化」を嘆いているのも杞憂ではありません。両面戦争すら馬鹿げているのに八面戦争を仕掛けるバカは歴史上もいませんでした(笑)。
続く。
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