台湾と日本は一心同体

下記は高橋教授のコラムです。

かつて台湾は日本に併合され「日本」でした。多くの若者が日本で学び民族自決のため努力している最中に太平洋戦争になり、台湾人も日本人として戦地で戦い多数の戦死者を出しました。終戦後、台湾は国連軍直轄地というあいまいな立場になります。日本にはマッカーサー率いるGHQが入り占領政策を実行しました。戦争での疲弊、敗戦の重みで日本人も日本経済もどん底の時、台湾の国連代表が国連総会で意思表明をします。「今の台湾は曖昧な立ち位置で非常に危うい立場にある。中国大陸では国民党軍が敗戦を重ね台湾に色気を出している。しかし、我々は台湾人である。そして、先の大戦では日本人であった。台湾を独立国家として認めないのであれば、我々台湾人は、今、敗戦の苦しみにある日本と一緒に日本人として共に苦しみ努力してゆきたい。台湾を日本に戻してほしい。」

日本の左巻きに牛耳られたマスコミは一切報道もしませんが、国連の議事録にちゃんと残っている発言です。もう、涙が出るほど嬉しい発言じゃないですか。この人たちを置き去りにし大陸と付き合うというのは人間のすることではありません。田中角栄以下、歴代総理大臣の決断は間違っているのです。当然、国連を主導していたアメリカ民主党の判断は欺瞞に満ちています。大統領選のさなかの民主党は、口では反中を叫びながらも台湾の中国帰属の方針転換をしていません。日本と台湾は一心同体であり、台湾の安全保障は日本の安全保障なのです。下記の地図を見ればわかるでしょ。赤丸は尖閣諸島です。台湾と日本の領土の間は目視できるほどしか離れていません。ここに中国が楔を打てば、日本も台湾も消えてなくなるのです。



李登輝元総統の大きな功績 称賛が中国政府を刺激しても日本は台湾と価値観共有を

 台湾の李登輝元総統が97歳で死去した。

 菅義偉官房長官は記者会見で、「日台間の友好増進に多大なる貢献を果たされ、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値が台湾に定着していく上で極めて大きな役割と貢献を果たされた」として哀悼の意を表明した。

 安倍晋三首相も「普遍的な価値」と同じ表現で、李元総統の日台関係への貢献を強調した。もちろん、この「普遍的な価値」に相いれない中国の存在を間接的に牽制(けんせい)したものだ。

 米国のポンペオ国務長官も、李氏について「民主的に選ばれた最初の総統として、何十年間にもわたった(台湾の)権威主義体制を終わらせるのに貢献し、経済的繁栄と開放性、法の支配に向けた新たな時代を切り開いた」とし、「政治的・経済的価値観を共有する台湾との絆をさらに強めていきたい」と強調した。上院の台湾議連で共同議長を務める共和党のインホフ、民主党のメネンデス両議員は連名で台湾支持の声明を出した。

 こうした米国の動きに中国はすぐ反応した。「中国の国家統一をいかなる勢力もさえぎれない。関係国に『一つの中国』原則を堅持し、台湾独立勢力に誤ったサインを送らないように求める」と不快感を示した。あくまで、台湾は、中国を「不可分の一部」との主張だ。

一方、李氏は、台湾と中国は国と国の関係にあるとの「二国論」であった。その李氏をたたえることは、台湾は中国の一部でなく、中国のような全体主義ではない民主主義国であるというわけなので、中国を二重に刺激する。

 日米ともに、建前としては中国だけと国交を結んでいるが、実際には台湾も国家に準じた扱いをしている。特に、日本政府は、経済面での実務取引を進めており、台湾が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に前向きな姿勢を示していることについて歓迎している。

 本コラムで繰り返し指摘してきたが、中国が共産主義体制である以上、TPPの資本取引自由や国有企業条項などがネックになって参加できない。

 TPPに台湾が参加するのは、民主主義の価値観共有を軸として、反中国の包囲網形成には好都合だ。日本としては、欧州連合(EU)を離脱した英国もTPPに取り込むのが国益になる。今のところ、米国は自国事情でTPPに参加していないが、民主主義の価値観共有であれば、将来的に米国の参加を拒むこともない。

 最近コロナ問題において、中国は世界保健機関(WHO)へ台湾の参加を反対しているが、日本は台湾の立場を支持している。WHOでは米国が正式に脱退したが、日本としてはWHO内での改革に台湾カードを使えるし、場合によっては脱退とのカードもある。

 香港国家安全法で中国の暴挙に世界はあきれている。今こそ日本は民主主義の価値観共有として、台湾の支持を表明してもいいのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)