時事

下記のニュース。先日、クワッドやインドからミャンマーへの潜水艦供与などをお話ししましたが、インドとミャンマーの中間地点であるバングラディシュの港湾工事などの公共工事を中国から日本が奪取しました!これは大きい出来事です。バングラディシュと中国は国境線も定かでない部分が沢山ありますし、川を下って海に出れるルートがあるため戦略的要衝の港湾は実に重要でした。ここに原潜も出入りできる湾を日本が作れば、南沙への重しになります。


バングラディシュ、中国支援の深水港を中止 日本のプロジェクトを進める 2020年11月10日 バングラデシュ政府は、同国南東沖のベンガル湾に面するソナディア島に予定されていた中国投資の深水港の開発を正式に中止した。ここから25キロほどしか離れていないマタバリ地区で、同様の深水港を日本の共同事業体が建設しており、日バ両国は計画を進めている。 10月中旬、バングラデシュの官房長官は、「生物多様性への悪影響」という環境問題を理由に中国資本のソナディア深水港の中止を発表した。同時に、日本によるマタバリ港は建設を進めると述べた。 複数の専門家は、環境問題は一因であるかもしれないが、地政学的な理由が中止の一つであったと考えている。 ウェブ雑誌「ディプロマット」10月12日付の記事によれば、ソナディアの深海港のアイデアは2006年に最初に考え出された。中国は、資金調達のための融資や港湾建設の支援を約束した。2014年7月にシェイク・ハシナ首相が訪中した際、プロジェクトの合意文書に署名する予定だったが、見送られた。2016年10月に習近平氏が首都ダッカを訪問した際は、議題にも上らなかったという。 習氏訪問時には、バングラデシュに対するインフラ開発の融資を中心に計27件の経済協力の覚書に調印し、200億ドル(約2兆円)相当と報じられてきた。しかし、実際には約束はほとんど履行されておらず、27件のうち2019年2月までに5件の融資契約が動いただけで、実際に拠出された資金は5億ドルにとどまる。 インド側は、中国資本の深海港の建設に警戒心を抱いていた。インド紙タイムズ・オブ・インディアは以前、同じ南東部に商業深水港2つは必要性がなく、インド太平洋地域で拡張主義をとる中国側の動きを警戒していた。 バングラデシュで20あまりのプロジェクトを請け負う日本工営は9月29日、マタバリ港の開発事業を地元港湾庁から受注したと発表した。日本政府の有償資金協力を受けて、商業港を整備する。総事業費は860億円と報じられている。 バングラデシュの港湾は、水深最大9.5メートル程度の浅い港が海上貨物の9割を扱っている。このため、コンテナ船はシンガポールやスリランカなどで積み替えて入港し、取引コスト高や遅延を招いていた。 日本が整備中のマタバリ港によりコンテナ搭載船など大型船の着岸も可能となり、同国の経済発展を支援できる。さらには、バングラデシュの貿易を後押しするだけでなく、ブータンやネパールなどの内陸国やインド東北部などの地域的な積み替えハブ港としての役割が期待されている。 日本は、総額約5000億円におよぶ日本の大型円借款案件を結び、南西部のマタバリ超々臨界圧石炭火力発電所と深水港の開発を進めている。共同受注者である住友商事によると、2024年中には発電所1号機・2号機が完成予定だという。 これらのプロジェクトで、日本は建設現場で数千人を雇用している。住友商事は日本官製資料のなかで「建設現場では数千人が働き、マタバリの村も商店が増えるなど、開発前より豊かになったようだ」とみている。 インドは、中国資本のソナディア深水港が中止されたことに胸をなでおろしている。一部の報道では、ベンガル湾に位置する中国資本の港の建設は、印日米が反対を伝えていたという。 ディプロマットの記事によれば、インドは、中国がスリランカと同様に、バングラデシュに対しても債務トラップを仕掛けて、戦略的インフラを引き渡すよう圧力をかけるのではないかと懸念していた。こうした拡張主義が、国の安全保障に悪影響を及ぼすと考えていた。 日米印豪のインド太平洋戦略的枠組み「クアッド(QUAD)」でも、安全保障の協力を深める日本の計画ならば、インドから、このバングラデシュの計画に反論はおきていない模様。日本による深水港は2025年までに完成する見込み。 インド側は中国の動きを引き続き警戒している。インド紙エコノミック・タイムズは、近隣諸国の港湾や空港といった戦略インフラを構築する中国の動きに、ニューデリーは注視していると伝えている。 



そうであるにもかかわらず、日経新聞はトンチンカンな記事を前日に出しています。ほんと、日経読んでたらバカになるとは、よく言ったものです。中国寄りの記事で日本の読者を洗脳するな!


菅外交、米中バランス重視 インド太平洋「構想」外す 

2020/10/28 2:00 日本経済新聞 

 菅義偉首相は26日の所信表明演説で「自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す」と述べた。日米主導の「インド太平洋」構想に関し「構想」という表現を使わなかった。安倍政権の基本路線は継承しつつも、中国包囲網という印象を和らげ、米中のバランスを重視する狙いがある。 中国は日米がともに掲げる「構想」を、中国への対抗措置だとみなして警戒する。首相の対応には中国との摩擦を避けたい東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参画しやすくする配慮もある。 太平洋からインド洋にわたる地域で安全保障や経済成長を呼びかける考えは、2016年に当時の安倍晋三首相が「インド太平洋戦略」として打ち出した。 中国が掲げる広域経済圏「一帯一路」への対処が念頭にあった。法の支配や市場経済といった価値を共有する国々が協力し、中国の強引なインフラ投資に歯止めをかけるのが目的だった。 安倍氏は18年になり、中国の懸念を緩め、賛同国を東南アジアなどにも広げるため、呼称を「戦略」から「構想」に表現を弱めた。アジア各国から「中国の圧力を受け、協力しにくい」との意見が寄せられていた。 首相は26日の演説に先立ち、就任後初の外国訪問となったベトナムやインドネシアでも「構想」には言及しなかった。その上で「インド太平洋版の北大西洋条約機構(NATO)をつくる考えは全くない」と強調した。 首相周辺は「構想」を外した理由について「日米など特定の国が決めた構想でなく、地理的概念を示す言葉との位置づけにとどめるためだ」と説明する。 日本にとって中国は隣国かつ最大の貿易相手国であり、対中色を過度に強めにくいという事情がある。 首相は9月25日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話で協議した。日中両首脳が電話で話すのは18年5月以来だった。 就任後初めて会談する海外の閣僚級として、10月6日に首相官邸で来日したポンペオ米国務長官と会った。11月には中国の王毅(ワン・イー)外相とも会談する見込みで両国のメンツを立てる。 首相が就任前から米中の均衡を意識していたと明らかにするのが、幻となった官房長官時代の中国訪問計画だ。 首相は官房長官在任中の19年5月に訪米し、ペンス副大統領らと会談した。複数の政府関係者によると、20年5月は米ニューヨークの国連会合に出席するために再び訪米し、さらにその直後の訪中も検討していた。 新型コロナウイルスの感染拡大で訪米も訪中もなくなったものの、中国側とは事実上合意できていたという。 首相の姿勢は日中の関係改善の行方にも影響する。日中間では習氏の国賓来日が課題として残る。20年4月の予定が新型コロナの感染拡大で延期となった。自民党内に中止を求める意見はある。 現時点で首相は中止するとは表明していない。「具体的な日程調整を行う段階ではない」としており、日中双方で感染が収束すれば再び俎上(そじょう)にあがる可能性はある。 国際社会では香港情勢や南シナ海情勢などを巡り、中国への批判が高まる。ポンペオ氏は6日、日米豪印4カ国の安全保障協力に言及し、中国への対決姿勢を鮮明にした。中国への批判が強まれば、首相の外交方針も選択の幅が狭まる。