時事

下記はIMFや欧州委員会でも活躍したドイツの学者のコラムです。書いてある内容はドイツらしく中国に騙され媚びた哀れな内容ですが、それを批判するのではなくドイツが置かれた状況やアメリカとの関係についてみるにはいいコラムです。とはいうものの、余りに中身がおかしいので太字で訂正しておきました(笑)。



高度成長期の日本と同様に教育水準が急上昇する中国──その封じ込めを米次期政権は諦めよ 

THE US MUST ACCEPT CHINA’S RISE 2020年11月12日(木)18時20分 ダニエル・グロー(欧州政策研究センター研究部長) 

<中等教育で欧米に追い付き、高等教育の水準も過去20年間で大幅に向上した中国。アメリカは中国の急成長阻止はもちろん、遅らせることもできない> 

海外の識者には都合の悪い地方は見せないから こういった誤認が生まれます。教育水準がまともなのは14億人中2億人。識字率は中国全土で60%に達していないのです。

言うまでもないが、選挙は各陣営の意見の相違を明確にする。今回の米大統領選もそうだ。アメリカ史に残る大接戦となったこの選挙の結果は、アメリカの政策のさまざまな側面に大きな影響をもたらす。 だが共和党と民主党の間で1つだけ、意見が一致している点があるようにみえる。「中国封じ込め」の必要性だ。 米政府は、中国が政府の介入を受けて、経済・技術面で不当な形で発展していると見なすようになってきた。しかし、これは誤解でしかない。最も「成功する」経済開発計画は大抵の場合、どう転んでも達成できる目標に焦点を当てている。それを政府による介入のおかげと見なすのは、お門違いというものだ。

中共による共産主義が市場経済を取り入れ発展したというマルキスト的思考があるから見誤るのでしょうが、中国は政府の介入なしに発展しません。哀れなくらい現実がわかっていませんね此の方。

 この点については、日本の例がいい教訓になる。1970年代から80年代の日本経済の急成長は、各種資源を戦略部門に優先的に振り分けた通商産業省(現・経済産業省)の手腕のたまものだとして、世界的に高く評価された。

そんなバカげたことを吹聴しているのは、官僚にレクチャーしてもらわなければ記事もかけないマスコミだけです。

しかし本当に成長を後押ししていたのは通産省ではなく、国民の高い貯蓄率と、規律の高い労働者の教育水準が急速に向上したことだった。 今の中国の成長を支えているのも、ほぼ同じ要素だ。中国の貯蓄率はGDPの40%以上あり、欧米諸国の2倍以上の水準に達している。これが各部門への投資の大きな財源になっている。

(笑)。中国の貯蓄率は、イコール老後の備えです。共産体制の下では年金や福祉など、政府の約束など有って無いが如しというのが常識ですから人民全てが利敏くなるのです。欧米と比べること自体が間違っています。

 中国は教育にも多大な投資を行ってきた。中等教育では既に欧米に完全に追い付いている。OECD(経済協力開発機構)の国際学習到達度調査によれば、中国の中学生は欧米に比べてはるかに学力が高い。 技術面の主導的な地位を確立する上で極めて重要な高等教育も、過去20年間で大幅に水準が向上した。全米科学財団によれば、いま中国が輩出している技術者の数はアメリカの2倍を超えている。科学技術の専門家による査読付き出版物の数でも、中国はアメリカをしのいでいる。 アメリカは中国が技術面で世界を制覇するというシナリオに怯え、それが現実になるのを是が非でも阻止しようとしている。それでも中国の持つ基礎的条件を考えれば、アメリカには中国の急成長を阻止することはもちろん、遅らせることもほとんどできない。華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)一社をつぶしたところで、この国の抱える才能が新たなITの巨大企業を生み出すことはほぼ間違いない。 中国は経済成長に伴っておのずと輸出依存度を減らし、その一方で新たに育った技術者が各種のテクノロジーを極めていく。すなわち中国政府が次期5カ年計画で掲げているテクノロジー自立計画は、国家が介入しなくても実現の可能性が高いということになる。

現実は、全ての技術は模倣であり、技術開発の根幹である中小企業もなく、元栓閉めたら水が出ない状況に置かれているのを、ハッタリで誤魔化しているだけです。民主党政権になれば親中派が蠢くでしょうが、ドイツはアメリカ異常に危険な分断が進んでおり、年寄りは親中による経済発展、中年より若いものは反中による国家自立と人道主義というように、見事に世代で別れるという、歴史的にみて最も危険な分断状況です。いつの時代も、どこの国も、世代間分断が起きると、戦争、革命などに一気に傾いてきました。

 これとは対照的に、中国との経済的な「デカップリング(切り離し)」をはじめとするアメリカの戦略は、成功の見込みが薄い。アメリカの主要テクノロジーに対する中国のアクセスを制限すれば、短期的にはある程度の効果があるかもしれないが、中国の発展を大幅に減速させることはないだろう。

デカップリングの肝はドルと人民元のデカップリングだということを知ってか知らず(笑)。アメリカの法律では中国が持っている米国債を「無効」にすることは可能です。人民元は世界流通の2%弱しかシェアがありません。かみ砕いていえば「ドルに対して、いくらの値打ちがあるのか」しか意味のない通貨です。

中国が今後10年間に展開する人的・財政的資源の規模を考えれば、アメリカの関与があろうとなかろうと、技術部門の多くを支配するのはほぼ確実だ。 結論ははっきりしている。アメリカの次期政権は、中国の経済・技術面での台頭を受け入れるべきだ。中国に追い抜かれるなど考えただけで腹立たしいことかもしれないが、現実的にみて10年以内にそうなる可能性は高い。 それを食い止めようと努力するのは無駄なだけでなく、極めて高い代償を伴うことになりかねない。