時事

1989年、日本では平成という名の時代が始まりました。東西冷戦で東側が敗北するのが目に見えていた時、時代を掴んだと勘違いした北京の学生による天安門事件が勃発。そんな不穏な時代を読むことも無く竹下政権が初の消費税を施行。世はバブルで天井知らずと思われた頃、オウム真理教による坂本弁護士一家殺人事件が起きます。そして11月にはベルリンの壁が落ちました。ボクは前年から中国進出のために幾度か中国と話し合っていましたが、中国流の商談戦術に嵌り八方塞がりでしたが天安門の数か月後、突然潮目が変わりました。それまでは、もっと大きな資本のところと組みたいとか、もっと好条件で商談があるといっていた北京のシルク公司が、突然、「先生は(ボクのこと)芸術家で、これからの中国には必要な人材」などと言い出し、とんとん拍子で合弁が決まり中国へ進出したのもこの年です。因みに、当時の中国のシルク公司はシルクが貿易強化産業だったため北京大学を出たエリートばかりで、日本語もあっと言う間に覚えるような官僚ばかりでした。当時のぼくはまだ20代、今のように社会も知らず怖いものなしの時代です。当時、先行して東レ、旭化成などの大手、北朝鮮経由で日本の紳士服メーカーやドイツの染色メーカーなどが既に進出しており群雄割拠で活気に溢れたいい時代でした。ベルリンの壁が崩れた時、『これで耕作面積が増える』と思ったものです。当時の日本はバブルたけなわ、世界の頂点目指し駆け上がれるんじゃないかとさえ思いました。それまでは東西に分かれていた世界が一つになり、先進国である我々には新たな市場が生まれると単純に思い込んだのです。

それから30年。平成が30年で令和に変わり、天安門から30年。東西冷戦終結から30年。日本国内は政府と日銀の失政で落ち目になりました。企業が誤ったのではなく官が誤ったのです。中国はあれから何一つ変わっていません。ボクのような小者をはじめ西側陣営を煽てたのは、天安門後に西側の圧力を避けるように共産党から指示があっただけのことで、彼らは深く潜りながら力を蓄え、虎視眈々と世界覇権を狙っていました。東西冷戦が終わったものの西側先進国から見れば、さほど畑は広がらず、第1次大戦ごろと何ら変わりない風景です。ルーズベルトの間違いを引きずったままのアメリカは、ようやく出てきた政治屋ではないトランプ大統領が軌道修正している状況で、その有難味が分からないメルケルEUは自壊の道を辿っています。そして日本は、消費税導入の間違いを正せず増税へ突き進んでいる最中です。今までの消費税増税の理由が、3%の時は直間比率の是正、5%の時が財政破綻、8-10%の今回が社会保障という「消費税増税のための理屈」でしたが、吉川洋氏復権で新たに4つ目として「大地震の可能性」が加わったようです。これだけ言ってる事がコロコロ変わっていても国民は騙されるって、いったいどうしたらいいんでしょうか。が、令和の時代、平成のようにマスコミを抱き込んで世論の醸成を図ることなど出来ないという事を認識できていない官僚やマスコミに任しておくことはできないのです。