時事

デモで揺れる香港では一定の進捗がありました。



行政長官の辞任、中国は容認せず 条例は事実上廃案=香港高官

[香港 17日 ロイター] - 香港政府の高官は17日、たとえ林鄭月娥行政長官自身が望んでも中国は林行政長官の辞任を認めないとの見方を示した。一方、無期限の審議延期となった中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案については、事実上廃案との認識を示した。

「逃亡犯条例」改正案の審議は無期限延期となったものの、抗議デモは収まる気配はなく、林行政長官に対する辞任要求が強まっている。

政治危機について協議する会議のメンバーとなっているこの高官は、「それ(辞任)はない」とし、「林行政長官は中央政府に指名された。したがって辞任するには本土でのハイレベルの検討を必要とする」と述べた。

また、いま辞任すれば、事態を悪化させるだけだと指摘した。

中国外務省の陸慷報道官は17日の定例会見で、同国が引き続き香港の林鄭月娥行政長官を支持すると述べた。

高官は、「逃亡犯条例」改正案について「中断というのは実質的廃案を意味する。再度持ち出せば政治的自殺だ」と述べた。




民主主義に則ったデモが効力を上げたかのようですが、実際はキャピタルフライトを警戒した中国共産党が手綱を緩めているとみるべきです。米中貿易戦争が始まる前からキャピタルフライトが続き、外貨準備高も減り続けている中国は、目先の香港の共産化より‟お金がない”という現実の方が重要なのは言うまでもありませんし、香港など落ち着けば何とでもなると思っているでしょう。



条例改正案で揺れる香港情勢 富豪らが資産を海外移転

香港市民は16日、中国国内へ犯罪容疑者を引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案の完全撤回を求めて、先週に続き大規模な抗議デモを行った。香港政府は改正案の審議延期を発表したが、撤回しない姿勢を示している。情勢が不透明ななかで、香港の富裕層が次々と資産を海外に移し出していることが報じられた。

ロイター通信14日付によると、政治・経済リスクに敏感な香港の富豪らはこのほど、資産を海外に移し始めた。香港の資産運用アドバイザーは、顧客の1人は米シティバンク香港支店に預けていた1億ドル(約109億円)の資産をシンガポールに移転したと話した。

報道は、このほどドル高・香港ドル安が進み、香港ドルの対ドル為替レートは1米ドル=7.8香港ドル台を上回り、20年ぶりの高値を付けたことが、急激な資金流出とドルへの高い需要を反映したとの見方を示した。

また、数年前に中国本土から香港へ移住した中国人富豪は、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、「香港の富豪らは今、できる限り全ての資産を海外に移すそうとしている。(改正案が可決すると)人権、資産の保障がなくなるので、逃げるしかない」と述べた。

香港の行政長官に直属するシンクタンク、中央政策組の顧問を務めた劉細良氏は、富豪のほかに、香港企業も撤退を始めていると語った。劉氏によると、香港国際空港の第3滑走路の建設事業に参加すると表明したある企業は、香港の政治・経済に「問題が生じた」との理由で、事業参加保証金の返還申請を放棄したうえ、事業の投資を取り消した。

香港経済学者の徐家健氏はRFAに対して、「周りの富豪たちは海外への移住と投資に着手している。香港の最も裕福な人たちは数年前にすでに資産を外国に移した」と話した。

劉氏によれば、富豪らは「逃亡犯条例」改正案によって、香港の世界金融センターとしての地位を確立させた司法制度の崩壊を最も危惧している。




下記はロンドンとベルリンのロイターの記事です。辞任を発表したメイ首相が中国を批判できるのも、アルトマイヤー経済相(ドイツ)が中国に面と向かって文句を言えるのも、米中貿易戦争を仕掛けたアメリカのおかげです。前任のキャメロン政権、前前任のブラウン政権時にイギリスは中国に対してしっぽを振り続けました。習近平訪英時はエリザベス女王対し礼を失しても批判もできませんでした。ドイツも同じです。ドイツ経済はすでに中国と一体になり、中国がコケたら皆コケる状況の中、米中貿易戦争で弱ってきた中国に対し、ようやくものが言える環境ができつつあるのもアメリカのおかげです。メルケルがトランプを嫌おうが、もはや死体のメルケルに力は残っていませんし、長い在任中、対中政策を誤ったメルケルが引き起こした経済に対し反省も無い状況では誰もついていかないでしょう。




英首相、香港の抗議行動問題を中国に提起 自由と権利尊重求める

[ロンドン 17日 ロイター] - メイ英首相は17日、訪英した中国の胡春華副首相と会談し、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に対する抗議デモが香港で続いている問題について協議した。報道官が明らかにした。

報道官は、「首相は香港における最近の抗議行動の問題を提起し、法的拘束力を持つ(香港返還に関する)中英共同宣言に明記された権利と自由を尊重する必要性を強調した」と述べた。



中国、市場開放の必要 知財・鉄鋼問題を協議=独経済相

[ベルリン 17日 ロイター] - ドイツのアルトマイヤー経済相は17日、中国は市場を開放し、独企業に対し公平な競争の場を提供する必要があるとの考えを示した。また、今週の中国訪問中に知的財産権の保護や鉄鋼業界の過剰生産能力などについて協議することを明らかにした。

中国の通商慣行を巡り米国とのあつれきが高まり、米中は互いに関税措置を発動。ドイツも中国に変革を促しているが、米国のような関税措置ではなく対話を通して進めたい考え。

アルトマイヤー経済相はロイターのインタビューに対し「中国と欧州連合(EU)は経済面でパートナーであると同時に競争相手でもある」とし、ドイツが中国企業に対して提供している事業機会と同様の機会を中国はドイツ企業に提供する必要があると指摘。「公平な競争の場が必要だ」と述べた。

中国が進める包括的なシルクロード経済圏構想「一帯一路」にも言及し、「欧州では同様の構想に着手するのが遅過ぎた」とし、「欧州委員会の主要な任務の1つとなる」と述べた。

アルトマイヤー経済相は3日間の中国訪問中に劉鶴副首相を含む政府高官と会談する予定。

トランプ米大統領が欧州の自動車に関税を導入する方針を示していることについては、通商を巡る問題は対話を通じて解決すべきで、世界貿易機関(WTO)規則に反する措置は回避する必要があるとの立場をドイツが堅持すると表明。「米国とEUは直ちに通商交渉を開始する必要がある」と述べた。