時事

下記は読売の記事です。野党はバカしかいないのでしょうか。麻生さんの物言いは今にはじまったことではないので、それはそれとして。今回の報告書を受け取らないという行動は、事前の大臣諮問が開催されていませんから「法律上、受け取る必要がない」という結論になります。法治国家ですから法の手続き通りです。



報告書「受け取らない」麻生氏の不信任案提出へ

 立憲民主党の枝野代表は16日、老後に2000万円の資金が必要とした金融審議会の報告書を麻生金融相が受け取らない方針を示したことを受け、麻生氏への不信任決議案などの提出を検討する方針を明らかにした。

 枝野氏は大阪市内で記者団に「麻生氏は報告書問題に限らず、色々なことが積み重なってきている。不信任決議案や問責決議案を出す方向で最終的な調整をしている」と述べた。国民民主党の玉木代表も麻生氏への不信任決議案の提出を検討する考えを示している。

 こうした野党の動きについて、自民党の岸田政調会長は16日、佐賀市内で記者団に、「麻生氏は今日まで安倍政権を支え、様々な分野、課題で成果をあげてきた」と述べ、野党側をけん制した。




数日前に書いた通り、今回の報告書は財務省が仕組んだ増税へ向けての年金爆弾で、野党とマスコミはまんまとそれに乗せられたピエロです。金融庁報告書は、先週から今週にかけ、いろいろなメディアで取り上げられていますが、どれもこれもピンボケです。なぜこの時期にこのような報告書が出てきたのかという根本理由に言及できてません。金融庁報告書の本質や審議会の内情を誰も読み取れていないのです。むしろ、「年金が危ない」という煽りにマスコミや野党が結果として加担したので、消費増税を目論む財務省は、今回の「炎上」に、さぞほくそ笑んでいることでしょう。バカは扱いやすいと思っているはずです。

今回は、この金融庁報告書が出てきた理由について、時系列にそって詳しく説明します。

問題となったのは、金融審議会「市場ワーキング・グループ(WG)」の報告書です。金融審議会は、金融庁設置法第6条に基づいて設置されたものです。同法第7条に基づき、「内閣総理大臣、長官又は財務大臣の諮問に応じて国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議し、内閣総理大臣、長官又は財務大臣に意見を述べる」とされています。市場WGの審議経過は、金融庁のホームページに掲載されていて誰でも見ることができます。財務大臣としての立場ではなく金融担当大臣である麻生さんから金融審議会への諮問があったのは、第1回の2016年4月19日で、その内容は「市場・取引所を巡る諸問題に関する検討」でした(HP記載のとおり)。諮問から半年後、第12回の2016年12月20日には報告書が出てますが、中身は市場・取引所問題の検討であり、今回の報告書にあるような年金や高齢者、長期投資の話はほとんど出ていません。

ところが、約1年9ヶ月後の2018年9月21日になって、この市場WGが再開されています。資料には、「今般、『高齢社会における金融サービスのあり方』など『国民の安定的な資産形成』を中心に更に議論を深めるため、市場WGを再開することとなった」とあります。

この市場WG再開については、その日の遠藤金融庁長官の挨拶からもわかり、通常この種のWGでは、金融庁長官が出席することはありませんが、別の課題についての議論が始まったため、長官がわざわざ挨拶したと思われます。これは形式的には「再開」ですが、通常であれば、大臣の諮問をもらって別のWGを立ち上げてやる性格のものです。官僚として、この手順の不自然さに疑問を抱いた方も多いでしょう。まず、昨年9月にWGを再開すれば、まさに消費増税の是非が盛んに問われるこの時期に報告書が出る、というスケジュールが官僚なら予見できるはずです。また、それまで検討していたのとは異なる新たな課題なのに別のWGを立ち上げず、大臣の諮問なしで既存のWGを再開するという手法をとっているのは手続きに不行き届きがあると言われても仕方ないでしょう。これは官僚の世界で言う「low key」の手法といって都合の悪いことを目立たなくして潜航させ、時が来たら浮上させる魚雷のようなものです。こうして金融庁報告書は、効果的なタイミングで世に出ました。金融庁官僚は財務省出身ですから、「公的年金が危ういので消費増税が必要」という財務省お得意の「ロジック」を刷り込まれており、それが報告書にも反映されていると上品に言えばそうなりますが、先日指摘した通り、伊藤氏を使った年金爆弾であるのは間違いありません。彼らはどこまで行っても「国民を甘やかしてはダメ」というねじ曲がった屁理屈を唱える旧大蔵族の手法を取ります。さらには、金融機関も消費増税を応援してくれるように、いわば金融機関の「営業パンフレット」にもなっています。金融機関にとっては、「公的年金では老後の資金が不十分ですよ」と言って金融商品の購入を勧めるのは、営業の常道。それと同じロジックを金融庁が使っているのは、退職後の天下り先を確保したい金融庁官僚と、営業利益が出ない金融機関との思いが合致したのでしょう。

こうして、「消費増税推進」と「金融商品の営業」というウラの意図を隠し持った、世にも奇妙な報告書が生まれた――というのが真実です。この報告書に気づいたマスコミや野党が、年金問題について騒ぎ始めるのも、財務省にとっては想定内でしょうし、たとえ年金がいくら炎上しようが、全ては消費増税のためと思えば、財務省にとっては大したことはありません。案の定、マスコミと野党はまさに財務省のやり口に引っかかり、彼らが騒げば騒ぐほど、「年金が大切だとおっしゃいますが、ではその財源はどうするんですか?」という流れで、消費増税への道筋がついてしまいます。しかし、野党はげんじょう、消費増税に反対しているので論理的に行き詰まることが目に見えています。何度でも言いますが財務省としては増税への流れさえ作れれば何でもいいのです。マスコミや野党は、財務省の掌の上で踊っているただのピエロに過ぎない自覚がないのです。

年金とは言い換えれば「保険」です。マスコミや野党には、この本質を理解していない人が多すぎます。極端に単純化してみよう。20歳から70歳の50年間にわたって保険料を払い、70歳から90歳の20年間で年金を受け取るとする。以上です。所得代替率(年金額と現役時代の給与との比率)を50%とすれば、保険料は20%になります。0.2×50(年)=0.5×20(年)となるからです。もし90歳以上長生きすれば、さらに多くもらえることになります。

それが分かっていれば「年金額が少ない、足りない」という不満は、実は「私が払っている現在の保険料を値上げしてくれ」と言っているのと同じ意味になんですよ!!!(笑)。

早く亡くなった人から長生きしている人への資金移転、これが年金制度のキモであり、子の制度は「ほぼ万国共通のルール」です。年金はこのように単純な仕組みなので、まず破綻することはありません。ただし気をつけなければいけないのは人口動態で、中でも出生率の予測を間違うと、今後の推計に大きな影響を与えるので、年金制度も危うくなります。もっとも今のところ出生率は、2004年の年金改革の際に2002年の人口推計から試算された値とほぼ一致していて、大きな誤差はありません。これも万国共通です。年金が危うくなる事態とは戦時です。出生率や死亡率が統計とかけ離れていくので戦時には危うくなるのですが、平時に年金が破綻した国は有りません。

GPIFの運用成績も、選挙前には公表を避ける動きがあります。野党は損失が出たときに批判し、与党は利益が出たときに成果を誇るというように、政治的に都合よく使われている現状で、GPIFに関しては、しばしば「年金を運用に使うとは何事か」という批判を耳にするのですが、公的年金は賦課方式なので、実は積立金運用が年金財政に占めるウェイトは少なく、全体の数%程度であるという事実を識者やマスコミは知らず、それを一喜一憂しても全く無意味なのです。むしろ問題なのは、運営経費として年間500億円以上が使われていることです。この経費は、ほとんど金融機関への管理運用委託手数料であり、無駄以外に何者でもありません。全額物価連動国債で運用すれば、運営経費は必要ありませんし、年金財政にとって何の問題ありません。GPIFが存在するのは、官僚の天下りポスト確保と金融機関の管理運用手数料のためであり、GPIFは解散させるべき組織です。GPIFの前身である年金福祉事業団が設立され、年金の市場運用が始まったのが1986年ですが、それ以前は全額国債運用で、担当者は1人、たった1人しかいなかったと誰かテレビで言ってくれませんか!?ボク一人で出来る仕事です。また、年金が「保険」であるという要点を掴むと、「消費税を社会保障目的税としている国はない」という従来からここで主張していることが理解できます。今回開設したような社会保障論だけでなく、景気の面からいっても、今後の米中貿易戦争の激化、10月末に期限を迎えるブレグジットの帰趨次第では、「リーマンショック級の事態」が発生する可能性もあり、何より、日本の消費増税がそうした危機の引き金になる可能性を海外では指摘されているのです。見えすいた手を使って世論をあおってまで、消費増税を強行しようとする財務省の姑息な事。エリートが聞いてあきれる所業です