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中国がアメリカに対し報復関税を発表した直後、アメリカは用意してあった対中関税の引き上げを発表し、とうとう中国からアメリカへの輸出品は30%の関税がかけられることになりました。その意図と背景は別にして、米中以外で最大の被害を被るのはドイツです。米国内のベンツやBMWなどの車、工作機器などの工場から中国への輸出は持続不可能かと思えるレベルまで引き上げられましたから、今後、ドイツ産業界はアメリカか中国かを更に迫られることになりました。もう、メルケルでは対処できないでしょう、あまりにトランプ氏と不仲過ぎて会談も出来ない状況ですから。
下記はロイターの記事で、ようやくトランプ大統領が本音の一部を発しています。「もう、中国は居なくなる方がいい」と、中国という国家そのものが世界からなくなればいいという、戦前なら宣戦布告と間違われそうな発言です(笑)。
更に、中国の商い、生産を撤収せよとアメリカ企業へ即しています。無論、米企業は反発はしているものの、今後の企業活動のリスクを考えれば中国からの資本逃避を取らなければ大きな損失の可能性が目に見えており、そうなってもワシントンからは「中国とは付き合うなと言ってただろう」と突き放される状況になったのですから、株主も黙ってられない状況です。
対中関税最大30%に引け上げへ トランプ氏表明
2019 年 8 月 24 日 07:24 JST 更新
ドナルド・トランプ米大統領は23日、中国が750億ドル(約8兆円)分の米国製品に追加関税を課すと発表したことに対抗し、向こう数カ月に対中関税を最大30%に引き上げる方針を示した。トランプ氏の発言を受けて、金融市場は再び動揺。中銀当局者の間では当惑が広がっており、世界経済の先行きに暗い影を落としている。
トランプ氏は10月1日から、2500億ドル相当の中国製品に対する関税を現行の25%から30%に引き上げると発表した。9月1日から発動予定の新たな関税についても、税率を10%から15%に引き上げる。
トランプ氏はまた、中国で事業を展開する米企業に対し、事業の移転を検討すべきと述べた。
トランプ氏は中国を非難するツイートを続けざまに投稿。「わが国は何年にもわたり愚かにも中国に対し数兆ドルを失ってきた」とし、「彼らは年間数千億ドルのペースで知的財産を盗んでおり、今後も続けたいと考えている。そうはさせない! われわれは中国を必要としていない。正直いって、いない方がはるかにいい」と述べた。
中国は同日、米国が中国製品3000億ドル分に関税を課す計画を示したことへの報復措置として、750億ドル分の米国製品に追加関税を課すと発表した。
国務院(内閣)によると、中国はまだ報復関税の対象としていない米国製品ほぼ全部に5%または10%の関税を発動する予定。
中国は米国が対中関税を発動するのと同じ9月1日と12月15日の2段階に分けて新関税を発動する。国務院によれば、米国から輸入する自動車と自動車部品には12月15日から追加関税を適用する。
中国が追加関税の対象にするのは農産品、衣服、化学品、繊維など。中国の輸入額は米国より少なく、関税を適用できる対象も限られている。
トランプ氏は米企業に対し、生産拠点を米国に戻すことを含め「即座に中国の代替を探す」よう要求した。
だが、トランプ氏がどのような権限を使って、米企業に対し、中国のサプライチェーン(供給網)移転を迫ることができるのかは不明。米企業の間では、貿易摩擦の激化を受けて、すでに中国から拠点を移す動きも出ているが、これまでのところ結果はまちまちに終わっている。
トランプ氏はまた、中国は不法な医療用麻薬「フェンタニル(合成オピオイド)」の対米輸出を停止するとの合意を履行していないと指摘。
フェデックスやアマゾン、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)などに対し、中国からの貨物にフェンタニルが含まれていないか検査するよう指示していると語った。
トランプ氏はこれらの企業に対し、中国からのフェンタニル流入を「検査・拒否」するよう要求しているが、ホワイトハウスはこれに関する質問に応じておらず、詳細についても明らかにしていない。
ホワイトハウス当局者によると、トランプ氏は同日午前、大統領執務室で通商顧問のピーター・ナバロ氏やロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表、スティーブン・ムニューシン財務長官、ローレンス・クドロー国家経済会議(NEC)委員長ら通商担当者を呼んで協議した。
今回の中国の追加関税で、米テスラやフォード・モーターのほか、独BMWやダイムラー傘下のメルセデス・ベンツなどは、特に大きな打撃を受けるとみられている。4社は米国で製造した車を中国向けに多く輸出しており、値上げを迫られる可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長はこの日、注目されていた国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での講演で、必要なら刺激策を提供する用意があると述べたが、貿易を巡る不透明感が世界経済の見通しへのリスクを増大させているとの認識を示した。
金融市場は中国の対米報復関税発表とパウエル氏の発言を受けてもおおむね持ちこたえていたが、トランプ氏のツイッター発言に大きく反応。ダウ工業株30種平均は前日比623ドル安で引けたほか、米国債利回りは大きく低下した。
トランプ氏は株価急落について、「おそらくセス・モルトン下院議員(それが誰であろうと)が、2020年米大統領選から撤退したからだろう」とし、問題視しない考えを示した。モルトン氏はこの日、民主党候補指名争いからの撤退を表明していた。
ナバロ氏はFoxニュースとのインタビューで、中国の報復関税発動について「中国がこのような行動に出ることのリスクは、国内でトランプ氏への支持を高めるだけの結果に終わるということだ」と指摘。米経済が21兆ドル規模であるのに対し、750億ドルは「株式相場が心配するようなものではない」とし、米経済全体への影響は軽微との見方を示した。
ライトハイザー氏の報道官は、現時点でコメントの要請に応じていない。
米中の貿易・ハイテクを巡る対立には決着の兆しが見えない。今月初めにはトランプ氏が対中新関税を発動すると表明。これに対し中国政府は、米農産品の輸入凍結を正式に表明し、人民元が約12年ぶりの安値に下落するのを容認した。
中国は、高官級の米中貿易協議が再開される直前で報復関税の発表に踏み切った。
北京のシンクタンク、全球化智庫(CCG)の創設者、王輝燿氏は「中国は対米追加関税の発動を決めたことで、交渉に臨むことができる」と話す。「もし関税を発動しなければ、米国から銃を突きつけられたままとみられてしまう」という。
ナバロ氏はこの日、米中高官級協議は引き続き、9月に再開されるとの見通しを示した。
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