時事
19日にも書きましたが、日銀は金融政策決定会合で現状維持を決めました。
直前の18日にはFRBが政策金利を0・25%引き下げ、ECBも12日に利下げと量的緩和の再開を決めていた中での現状維持決定です。
トランプ米大統領は、米利下げを受けてツイッターで「パウエル(議長)とFRBはまたヘマをした。根性なし、センスなし、見通しなし。ひどい」とこき下ろしました。利下げ幅が物足りないというわけです。
このトランプ氏の見方に基づくと、日銀の現状維持は「根性なし未満」、ただの無能と言えます。
トランプ氏としては、(1)米中貿易戦争(2)ホルムズ海峡での緊張拡大(3)英国の欧州連合(EU)離脱-が現実化しつつあるのに、FRBは世界経済の先が読めないとあきれた状態なのでしょう。
特に(2)では、14日のサウジアラビアの石油施設への攻撃をイランの企てだと確信しているので、米国が強硬姿勢を取ることは見えています。
世界経済の先行きについて、日本の視点で考えると、(1)、(2)、(3)に加えて、(4)の日韓関係悪化、それに日本固有の(5)消費増税があります。日本は、欧米に比べて経済見通しでは危機感をより強く持つ必要があるはずです。
おそらく秋の臨時国会で、景気対策が打たれるでしょう。いま日銀に求められているのは、欧米に負けない金融緩和とともに、政府が景気対策をやりやすくするような金融政策のはずです。
具体的には、マイナス金利の深掘りと量的緩和の復活。それで金融緩和とともに政府の国債発行を後押しすることです。
しかし、今回日銀は現状維持だったので話になりません。2008年のリーマン・ショック後、世界の中央銀行が金融緩和をする中で、白川方明総裁時代の日銀が現状維持を繰り返し、日本経済を毀損させたことを彷彿させる愚策です。
日銀の現状維持について決定会合での賛否は7対2でした。反対した原田泰、片岡剛士両審議委員はまともですが、ほかの7人は経済を見る目が曇っているというか机上論のみでセンスの欠片もありません。
トランプ氏はある意味で親切なのです。ツイッターで国際情勢の見通しをFRBに知らせてくれているのですから、政府の方針に従うのが中央銀行の役割です。当面きな臭いのはホルムズ海峡で、すでに米国はイランに対して最大の経済制裁を科すと発言していますし、イランの反応によっては軍事オプションも否定しにくい状況です。
今回のサウジ石油施設への攻撃について、18日、サウジアラビア国防省は巡航ミサイル7機と自爆ドローン18機による攻撃だったと発表しました。これで米国がイランに報復するのは時間の問題になったと考えるのが軍事です。
トランプ氏からみれば、パウエルFRB議長は、こんな国際情勢も分からないのかというところでしょう。
現在の日本の置かれている状況は、こうした国際情勢を考えず、能天気に現状維持に賛成した日銀の面々に、もっと視野を広げてもらいたいと誰か釘をさすべきでしょう。特に、日本は欧米にない(4)日韓関係悪化と(5)消費増税があるので、欧米より大胆に動かないと、白川日銀の二の舞いになってしまいます。金融政策を誤ると人が死にます。
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