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下記はWSJの記事です。中国は経済統計だけでなく人口統計や人口動態も偽造しているのは、すでに世界で広く共有されています。率直に言えば、政府の発表はすべてが捏造で、その手法はソビエト連邦と全く同じです。ソ連崩壊から、いかにソビエト政府が統計をごまかしてきたのかが研究されていますが、人類の未来にそぐわない共産主義や社会主義を掲げる限り、目的達成のために嘘も方便という次元を通り越して、人類の欲望の達成手段としての共産主義、社会主義であることが明白になってきています。




中国の人口問題、認識以上に深刻

流れを変えるには遅すぎると話す人口問題専門家も

People outside of the Beijing Railway Station last year. TIM FRANCO FOR THE WALL STREET JOURNAL

 【北京】中国の指導層はあまりに急激な人口増加に長らく懸念を抱いていた。今では正反対の心配をしている。同国の出生率は世界で最も低い部類に入るのだ。しかも、人口問題は考えられているよりも深刻であることを、最近のデータは示唆している。

 年齢の中央値が上昇するなか、退職者を支える労働者は減る一方だとの見通しが今後の中国経済に大きな影を落としている。

 1970年代には、中国の年齢中央値は米国を10歳近く下回っていた。それが上昇したため、中国政府は「一人っ子政策」(急速すぎる人口増加への懸念から80年に正式導入されていた)を2015年末に撤廃。だが期待された出生数の増加はほとんど実現しなかった。

数値が異なる統計「一人っ子政策」撤廃以来、中国の出生数の推計はさまざまだ出所:中国国家統計局、国家衛生健康委員会、人口問題専門家の易富賢氏

中国国家統計局国家衛生健康委員会人口問題専門家の易富賢氏2016201720180(100万人)5101520

 今年1月、中国国家統計局は18年に人口が13億9500万人に増加したと発表した。出生数は1523万人だった。この出生数は17年より200万人少なく、公式予想の2100万人を30%ほど下回る。

 一方、国家衛生健康委員会が最近公表した年鑑によると、18年の出生数はさらに低く、1362万人にとどまった。

 両機関は出生数の数え方が違う。健康委は病院のデータを使い、統計局は各地の調査から推計しているのだ。16年以降、同委の出生数推計はおおむね統計局のそれをやや上回ってきた。ところが今年、同委の数字が統計局より大幅に低かったことは注目に値する。

 健康委はデータの違いについて、流入出者の数え方が違うためだと説明したが、詳細は明らかにしなかった。統計局はファクスでの質問に回答しなかった。

 中国の政策担当者は、増加する退職者が家計貯蓄を食いつぶし、成長を妨げる脅威を十分に認識している。それでも子供の制限は残っている。夫婦は子供を2人持てるが、それが上限だ。政府は2030年からの人口減少を予想しているにもかかわらずである。

 中国政府は、技術の進歩と自動化が生産性を押し上げ、若い労働者の不足を一部補うと主張してきた。当局者は出産を奨励する措置を講じてきたが、長年の政策をあまりに急速に変えることには気が進まないと話している。

 流れを変えるには遅すぎると話す人口問題専門家もいる。ある中国人研究者は、自身の計算が正しければ中国の人口減少は既に始まっていると述べた。

 ウィスコンシン大学マディソン校の易富賢氏は、出産可能な女性の数や学校の入学者数といった他のデータを出生数の推計と合わせて全体像を見ている。この方法を使い、昨年の出生数はわずか1000万人前後と推計、人口が減少しているとの考えに至った。

 易氏の結論を採り入れる専門家はほとんどいないが、多くの専門家は人口のピークが政府の予想より早く到来するとの見解で一致している。

 北京のシンクタンク、全球化智庫(CCG)の客員研究者、黄文政氏は「中国は向こう20~30年は大丈夫だろう。だが、人口問題を解決できなければ大きなトラブルに陥る」と述べた。同氏は世界各地に投資するヘッジファンド会社のパートナーでもある。

 推計そのものを控えるケースもある。中国の家族計画当局(強制中絶や避妊など、一人っ子政策の厳格な実施で知られる)に助言した経験を持つ人口統計学者の梁中堂氏は、信頼できるデータは政府からしか得られないと話す。政府のデータが信用できないのなら、他の推計も同様だという。

 梁氏によると、かつて国家統計局は、地方当局からの出生報告で欠けていると考えた新生児数を補うために調整をしていた。

 ウィスコンシン大学の易氏は引き続き、全ての出産制限を撤廃するよう政府に呼び掛けている。「人口危機を示す兆しがこれだけあるのだから、政府が出産管理を続ける理由はない」

 中国が人口データを水増ししているとの主張を裏付けるため、易氏は出生と入学のデータの相違を挙げた。例えば2000年の新生児は統計局によると1771万人だったが、14年の中学入学者(14歳)はわずか1426万人だった。2000年の乳児死亡率3%前後を加味しても、この大きな差は説明できない。18年の中国の乳児死亡率は0.61%だった。 

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 一部地方のデータに見られる不規則な動きも、出生数が信頼できないとの疑惑を裏付けている。南西部の重慶市では、地元保健当局のデータで今年1-5月の出生数が44%減少した。それが6月に跳ね上がり、1カ月で前5カ月の合計を上回った。

 同市の当局は原因を説明しておらず、コメント要請に応じなかった。

 梁氏は、本当の出生数が分かるのは人口調査がさらに1、2回りした後だと見込んでいる。中国では来年、10年に1度の人口調査が行われる。「データを偽造する必要はもうない」と梁氏は述べた。