時事

毎日のように「5G」という言葉がニュースになります。「G」というのは学術用語でもなんでもなく、ただの「ジェネレーション」、すなわち「世代」のことを指しますから、「5G」とは5世代目の通信技術だということです。

米中が覇権を争う5Gですが、現状は中国がリードしています。技術的には民主主義社会と中国はほぼ互角ですが、中国政府から多額の補助を受ける中国企業とコスト面で倍ほどの差をあけられているのです。これは公平な企業活動を促進する西側諸国と、国策として企業成長を推進する国策企業との差であり、5Gそのものもさることながら、企業活動の是非を問う自由民主主義社会と共産主義社会の争いです。

これから市場に配備される5G技術ですが、5Gでは皆さんが夢描くような生活にはなりません。完全自動運転も、すべてのものがネットで結ばれる世界も、5Gでは通信速度と容量がボトルネックになります。

昨年10月に、NTTが次々世代技術の6G通信に成功し発表されました。6Gの世界は日本がリードできる技術がたくさんあり、アメリカと日本が組んで6G開発を進めています。5Gで後れを取った西側は6Gへのシフトチェンジを見据え、中国の5Gとは接続できない技術としての6G開発が主眼のようですから、西側6Gと中国の5Gや、これから開発されるであろう中国6Gは互換性がなく通信すらできないようになります。

日本の報道では、アメリカが中国技術を導入しないように圧力をかけているという報道が多いのですが、実際は、5Gの寿命は長くなく、すぐに次世代の6Gに代わるので、今、西側の5Gを導入するのであれば、次の6Gも優先的に提供しますよというプレゼンテーションを兼ねた踏み絵を突き付けています(笑)。

日本は技術があっても標準化するテクニックはアメリカの方が長けており、日米が組む意味は、ひとえに標準化にあります。中国やソフトバンクの孫さんは、NTTやアメリカに先を越されたくないから、「日本の技術は地に落ちた」かのような発言を繰り返していますが、全く的外れな意見で、次世代技術は日本がリードしています。