時事
下記は日経の記事です。香港の選挙制度では、区議選以外は中国共産党員しか立候補できない仕組みですから、区議会選以外は選挙とは言えません。今回の選挙でデモのガス抜きを狙ったんでしょうが、現実はガス抜きどころか民主化に火を注いでしまいました。投票率も倍増し、まさに民意の反映です。
その下段の記事は午後のロイターの記事で、全議席の9割を民主側が獲得という凄まじさです。
香港区議選、民主派が議席6割超す圧勝 現地報道
2019/11/25 6:03 (2019/11/25 10:32更新)
【香港=渡辺伸】香港で24日投票が行われた区議会(地方議会)議員選挙で、民主派が圧勝する見通しとなった。香港メディアによると、民主派は全452議席のうち6割以上を押さえ、選挙前の約3割から大きく躍進する。民主派は区議選をデモの賛否を問う「住民投票」と位置づけてきた。デモ支持の民意が示されたとして、普通選挙などの要求を強める可能性がある。
民主派が区議会選で過半数以上を獲得するのは1997年の中国返還後で初めて。香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(電子版)によると、議席数(日本時間25日午前8時時点)は民主派が278議席(15年の前回選挙は126)、親中派が42議席(同298)、いずれにも分類できないその他が24議席(同7)を獲得する。全18の区議会のうち大半で、民主派が過半数以上の議席を獲得する。
投票者数は約294万人と、前回から倍増した。暫定の投票率も47%から71.2%に高まり、中国返還以来の直接選挙で過去最高を記録した。6月に大規模デモが始まってから初めての主要選挙で、有権者の関心が高まった。この区議会選は議員1人を選出する小選挙区制度のため、民主派が地滑り的な勝利をおさめた。
区議会は地域にかかわる政策を政府に提言する機関で実質的な権限は大きくないが、政府トップの行政長官を決める選挙委員1200人の1割程度にあたる117人が割り当てられる。香港メディアによると、民主派は22年の行政長官選で1割分の選挙委員枠を獲得する見通しだ。
民主派の圧勝により、デモ参加者が掲げてきた「5大要求」が強まる可能性がある。5大要求のうち、大規模デモのきっかけになった、刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようになる逃亡犯条例改正案の撤回は実現した。
だが、デモを暴動とする政府見解の撤回、デモ参加者の逮捕・起訴の中止、警察の暴力行為を調べる独立調査委員会の設置、普通選挙の実現――という残る4つの要求は実現していない。
民主派はデモに参加する若者など積極的に候補者擁立を進め、すべての選挙区で親中派と対決する構図になった。デモの取り締まり強化を進める政府や警察への反発も民主派を押し上げる要因になった。親中派は社会の安定を訴えたが、劣勢をひっくり返すことはできなかった。
区議選前にはデモによる交通妨害などで選挙を円滑に実施できるか疑問視する見方もあった。しかし選挙直前に過激なデモがいったん止まり、予定通り全選挙区で投票が行われた。
香港区議会選、民主派が全452議席の9割にあたる390議席獲得 投票率は過去最高
2019年11月25日(月)13時45分
政府への抗議活動が続く香港で24日に実施された区議会選挙は、投票率が過去最高となり、民主派が地滑り的な勝利を収める見通しとなった。
今回の選挙は、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に対する支持を示すバロメーターになるとみられている。
現地テレビRTHKが25日に報じたところによると、民主派は全452議席のうち90%に近い390議席を獲得した。
行政長官は、香港政府は区議会選の結果を尊重すると表明した。
4年前の前回選挙では、民主派の議席数は約100議席にとどまっていた。
今回の選挙には過去最高の1104人が立候補し、452議席を争った。民主派の議席が過半数となるのは初めて。
選挙管理委員会によると、300万人近くが投票し、投票率は71%超と過去最高を記録した。前回選挙では約147万人が投票した。
当選見込みの民主派候補らは今回の選挙について、デモに対する支持に等しく、林鄭氏に対する圧力が高まる可能性があるとの見方を示している。
元学生運動のリーダーで当選を確実にしたトミー・チャン氏は「これが民主主義の力だ。これは民主主義の津波だ」と語った。
民主派候補に投票したという22歳の学生は「中国政府が要求を無視したことで全ての香港市民が立ち上がり投票した」と指摘し、「民主派の勝利は、中国政府に強力なシグナルを送る」と述べた。
何君堯(ユニウス・ホウ)氏をはじめ多くの親中派の大物議員が議席を失った。ホウ氏はフェイスブックで支持者に「異常な年の異常な選挙で異例の結果になった」と敗戦の弁を述べた。
中国共産党の傘下にある英字新聞チャイナ・デーリーは25日の論説で、選挙がきっかけで香港が平常に戻ることを期待するとし、選挙前のここ数日、香港が比較的平穏だったことは、全ての有権者が選挙を意見表明の機会と捉えていたことを示していると指摘した。
0コメント