時事

現在のところ、下記のWSJの記事が一番客観的事実を述べているかと思うので張り付けておきます。ボクを含め「思惑」で書かれている記事が多く、その理由はいつものように中国共産党が事実を公表しないことにありますが、アメリカ人が発症した以上、ある程度は事実が出てくるでしょう。団体旅行が禁止となったようですが、日本への訪日の6割は個人旅行ですから、水際封鎖にはなっていません。



新型肺炎広がる武漢、病院は患者殺到でマヒ状態

By Julie Wernau in Beijing and Shan Li in Wuhan, China

2020 年 1 月 25 日 03:32 JST

 新型コロナウイルス肺炎が猛威を振るっている中国・武漢市では、医療施設で備品や病床などが不足しており、患者の受け入れを断らざるを得ない深刻な状況に追い込まれている。

 感染者が集中している湖北省では、あらゆる病院がここ数日、ソーシャルメディアで医療備品を寄付するよう市民に訴えている。消費者によるパニック買いで、マスクや除菌ローションなどが店頭から消えているためだ。

 武漢の小児病院は23日、ミニブログ「微博(ウェイボ)」に、「医療備品が不足しています。助けてください!!」とのメッセージを投稿した。

 中国工業情報化省によると、中央政府は武漢市に対し、医療備品の在庫から防護服や手袋などを送付。財政省は新型肺炎の対策資金として10億元(約160億円)の拠出を表明した。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、中央軍事委員会は感染患者の治療に当たっている武漢市内の病院に軍医40人のチームを派遣した。

 湖北省の報道官は24日、記者団に対し、医療備品の不足に対処するため、政府省庁は承認手続きを加速していると説明した。

 感染拡大により事実上、封鎖されている武漢市では、政府が新規病院の建設を急ピッチで進めており、6日以内に完成するとしている。既存の病院では長蛇の列ができ、病床も不足しているとして、地元保健当局が窮状を訴えている。中国メディアがサイトに掲載した動画や写真によると、大量の掘削機が建設予定地を整備しており、医療用マスクを着用した建設業者が作業に当たっていた。

 武漢市政府が新型肺炎の対応に当たるため設置した指令室は24日、病院での待ち時間が長いことを認め、感染の有無を調べる検査を加速すると表明した。

 武漢市の医療機関が対応に追われている現状は、政府が新型コロナウイルスの脅威を甘くみていたことを物語っている。今回の新型肺炎では、中国本土で感染者が少なくとも881人、死者が26人出ており、その他10カ国・地域にも広がっている。医療専門家や一般市民に加え、中国政府当局者の一部でさえも、習近平国家主席の指揮下における官僚主義的な決断力のなさに触れ、一部の対応のまずさを批判している。

 多くの中国人にとって、今回の新型肺炎の感染拡大は、2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の記憶と重なる。北京市は当時、何カ月にもわたり事態の深刻さを否定しておきながら、その後、7日間で新たな病院の建設を余儀なくされた。

 武漢市の実業家、シャン・ドンさん(52)は、23日に市内5つの主要病院を回ったが、どこも大量の患者で埋め尽くされており、数時間待ちの状態だったと話す。

 「すごい人の数で、3人家族全員が病んでいるなど、患者の一部は本当に悲惨な状況だった」とし、「状況は極めて深刻で、気がかりだ」と述べた。

 地元当局は、武漢市は十分な食料や防護服を蓄えているとして、市民にパニックに陥ったり、備品の買いだめに走ったりしないよう訴えた。

 シュ・ウェンさんは、防護服を着た医療関係者が患者の到着を出迎える様子を見て、恐怖心からマスクを大量に購入した。彼女は、新型肺炎の感染が疑われる患者が訪れることになっている武漢市内の病院近くの外食店で働いており、「道路を挟んで病院の真向かいにいるため、もちろん怖い」と話す。顔の周辺をぴったり覆う良質のマスクは50元(約800円)の値がついているという。

 マスクや医療用手袋、防護服などを製造する中国のメーカーは、社員の多くが春節(旧正月)で帰省していることもあり、需要の急増に追いつけずにいる。

 「給料をすでに4倍に引き上げているが、社員は春節期間中には働きたがらない」。中国東部・浙江省にマスク製造工場を持つ会社のゼネラルマネージャー、カオ・ジュン氏は、こう漏らす。戻って働く意欲があるのは従業員の1~2割程度で、経営陣自らが生産の現場で働かざるを得ない状況だ。

 その上で、「業界の試算に基づくと、医療用の防護備品の不足は、感染が終息するまで続く」との見方を示した。

 四川省のある医療備品メーカーは、手術用マスク10万枚の全在庫を22日に中国アリババグループの通販サイト「天猫(Tモール)」で売り出したところ、1時間以内で完売したという。同社は春節期間中も休日返上で働く予定だ。アリババによると、20~21日だけで約8000万枚のマスクが販売された。