時事

下記はWSJの記事。AIIBや中国からの直接融資を受けている国が今回のコロナでひっ迫し、返済の繰り延べを申告したら権利や土地が中国にとられたという話です。

もう少し知恵があれば、債務国同士が組んで「みんなで踏み倒す」となれば中国も慌てるでしょうが、債務国に限って偏った政権や独裁国ばかりで知恵も実力もありません。

ただ、中国もひっ迫しており、下段にあるように世銀やIMFに途上国の返済猶予を申告しているところを見ると、世銀などに返済され自分たちには繰り延べになると困るという事ですから、中国も偉そうなことを言っていても、たかだか数千億円でも打撃だという事です。

まあ、成長率がマイナスになったと発表したようですが、ボクの見立てでは2年前からゼロ成長、昨年からマイナス成長に入っていますから、いずれ中国は毛沢東時代に戻るでしょう(笑)。



コロナ下のアフリカ債務救済、中国どうする

欧米と対立の恐れも

By

Joe Parkinson,

James T Areddy and

Nicholas Bariyo

2020 年 4 月 20 日 06:00 JST

 【ヨハネスブルク】新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、債務救済を求めるアフリカの貧困国への対応を巡り、先進国と民間投資家、そして最大の債権国である中国の間で攻防が起きつつある。

 コロナ危機によるリセッション(景気後退)に直面する日米など先進国は、アフリカ諸国に対する債務支払いを免除することで、間接的に政府や銀行、契約業者など中国の債権者を助けることになると考え、救済に二の足を踏む。一方、中国は広範な返済免除の前例を作りかねないと懸念している。

 中国を含む20カ国・地域(G20)は、差し迫る危機を回避するため、貧困75カ国余りに対する政府債務の返済を今年は猶予することで合意した。中国外務省は13日、国際社会によるアフリカ諸国への協調的な債務救済プログラムの可能性について前向きに検討するとコメントした。

 だが、すでに中国に債務救済を求めているアフリカ諸国の政府からは、戦略的な国家資産などを担保として中国政府に差し出す条項が融資合意にはある、と中国側から告げられたとの声も出ている。

 例えば、ザンビア政府関係者は、債務の返済猶予または免除と引き換えに担保を求められたと明かす。中国側との交渉を担当する政府委員会の高官2人は、債務救済と引き換えに、国内第3位の規模であるモパニ銅鉱山を中国側に引き渡すことを検討していると述べた。同鉱山はスイスの商品取引・鉱業大手 グレンコア が保有しており、グレンコアから所有権を取り戻すことができれば、譲渡する方針だという。

 ザンビアの交渉の行方は、パキスタンから中央アジア、中南米、カリブ海諸国に至る多数の途上国が注視している。同じように中国から巨額の借り入れをしているためだ。

 トランプ政権はアフリカ諸国に対し、中国から資金を借りれば、戦略資産の支配権を失うとこれまで繰り返し警告している。

 スリランカは2018年、港湾建設向けの融資の返済に行き詰まると、中国国有の海運グループに対して、99年間にわたり港湾施設の運営権を譲渡することを余儀なくされた。東アフリカのジブチでは昨年、中国の港湾運営会社が戦略的な軍港の支配権を固めた。ジブチの対中債務は国内総生産(GDP)比で100%近い。

 国際通貨基金(IMF)の2019年報告書によると、アフリカの低所得国の推定およそ4割は債務の返済に窮している。2月に公表されたハーバード・ビジネス・レビューの調査によると、中国の途上国向け融資の半分は公表されていない。

 ここにきてコロナ危機による経済ショックは、政府の返済能力をほぼ完全に奪っている。ロンドンのシンクタンク、海外開発研究所(ODI)は、資源価格の下落により、アフリカ諸国の輸出収入は今年、360億~540億ドル(約3兆9000億~5兆8000億円)落ち込むと予想。一部の国は最大でGDP比20%に相当する輸出収入を失うだろうとしている。

 ODIの研究者、リンダ・カラブレーズ氏は「これはアフリカ諸国が、中国にとどまらず全ての債権者への支払いに窮することを意味する」と指摘する。

 アナリストの間では、こうした状況からみて、中国と欧米諸国が債務再編に関する広範な政策を巡り合意に達する可能性があるとの見方が出ている。一方で議論が一段と政治問題化し、敵対する可能性も高まっており、そうなれば貧困国にとっては一段と広範な影響が生じかねないという。

 メディア「中国アフリカプロジェクト」のマネジングエディター、エリック・オランダー氏は「中国と西側諸国が債務救済で協力できれば、今回のコロナ危機における希望の光となる」としながらも、トランプ政権による世界保健機関(WHO)への拠出金停止決定などを含め、「他のあらゆる懸案が政治問題に発展するとの危機感がある」と話す。

 途上国に対する融資は習近平国家主席の外交政策の中核であり、その大半について中国が債務免除に応じることは容易ではないだろう。中国の融資先は世界各地に広がっており、借り手が雪崩を打ったように全面的な返済免除を求めてくるリスクは冒せないとみられている。

 ODIのカラブレーズ氏は「中国が一部の債務について返済猶予や再交渉に応じることはあり得る」としながらも、「債務帳消しの可能性は低い」と述べる。

 中国はコロナ危機において、医療用マスクやその他の物資を提供することで途上国への支援を行っていると強調している。しかし広州では、コロナ感染拡大を阻止するため現地のアフリカ人をアパートから追い出し、集約して隔離していると報じられている。このため途上国を支援しているとする中国当局の見解は説得力を失っている。中国駐在のアフリカ諸国の外交官は、中国当局のこうした行動に抗議。中国外務省の陳暁東次官補は、緊張緩和に向け、アフリカ諸国20カ国以上の代表団と協議した。

 コロナ流行による世界経済の減速により、習氏の掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」は規模縮小を余儀なくされる公算が大きい。中国政府はすでに、途上国の巨額の債務負担への批判などを受けて、一帯一路を前面に出さなくなっている。習氏は2018年、アフリカ諸国との首脳会議で600億ドルの支援を表明したが、かつてのように強調することはなかった。

 G20で合意したものの、中国がアフリカ諸国の債務負担軽減に向けた多国間の取り組みにどう関わるのかは不明だ。中国の外交官や政府系銀行の関係者は、密室で個別に協議することを好む。中国はこれまで、パリクラブ(主要債権国会議)や経済協力開発機構(OECD)を通じて行われている欧米主導の組織的な債務再編の取り組みには参加を渋っている。

 債権国との非公開での2国間協議という中国のやり方を巡っては、融資の組成においても再交渉の場でも、中国が借り手に対して優位に立つことになるとの批判が出ている。

 ワシントンのシンクタンク、スティムソンセンターのユン・ソン氏は、コロナ危機の中で中国が全面的な債務免除を認める可能性は低いと指摘する。



中国、世銀に最貧国の債務返済猶予を呼びかけ

4/17(金) 13:12配信

[ワシントン 16日 ロイター] - 中国は16日、世界銀行に対し、新型コロナウイルスの感染拡大に対処する最貧国の債務返済を猶予するよう呼びかけた。

中国の劉昆財政相は世銀開発委員会に向けた声明で、パンデミック(世界的な大流行)の影響による債務持続面の脆弱性に対処すべく、官民問わず全ての債権者が20カ国・地域(G20)が合意した協調行動に参画すべきだと述べた。

もし世銀グループが「融資の返済猶予に向けた協調行動に参加しない場合、開発資金を融資する国際金融機関としての立場が弱体化し、融資イニシアティブの効率性も損なわれる」とした。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁は15日、最貧国の債務返済を一時的に停止することで合意した。

世銀のマルパス総裁は、多国間の開発銀行(MDBs)による融資返済の猶予を巡り、新規の資金拠出による補てんがない限り、短期的には貸し手の前倒し融資実行力をそぎ、長期的にはそのレバレッジ能力を減少させると指摘。借り手の貧困国にも損害となるリスクがあるとの見解を示していた。