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トランプ大統領が秋の大統領選挙で苦戦を強いられる要因となるのは、新型コロナウイルスへの対応に対する世論の判断だけです。日本のマスコミは左巻きが大半で反トランプですから、失言ばかりを報道していますが、これは幼稚な報道で、アメリカ国民は「何を言ったか」には興味なく、「何をしたか」が判断基準になります。オバマが最悪な大統領だったといわれるのは、きれいごとばかりで何もできなかったからです。新型コロナウイルスはベトナム戦争を超える死者を出し、リーマンショックをはるかに超える大不況をもたらすとの予測が流れています。その責任をトランプ政権が負うのか、それとも「ウイルス発生源」であり、初期に重大な隠蔽をした中国、その中国のいいなりになって隠蔽に加担したWHOの責任を追及できるのかが重大なポイントです。
トランプ大統領としては、中国政府の隠蔽とWHOの機能不全がパンデミックの最大の責任を負うことになるという国際世論を形成し、WHOから弾き出されながらも、その政治的リーダーシップで感染を最短最低限の流行で抑え込んだ台湾蔡英文政権を強く支持する意味があるということです。
台湾はたとえ国家として国際機関に承認されていなくとも、人道的な観点からはWHOへの参加は当然認められてしかるべき話です。実際、2016年までは認められてきた背景もあります。今、中国がかたくなに台湾のオブザーバー参加に反対しているのは、蔡英文政権だからです。しかし、蔡英文政権は習近平政権と違い公平公正な民主選挙で選ばれた政権です。それを理由に拒否するとしたら、WHOは政治的理由で2300万人の健康と安全を見捨てる、ということです。
5月18日に開幕した世界保健機関(WHO)の最高議決機構(WHA)の年次総会(オンライン会議)で、米保険福祉省長官のアザールは2分の持ち時間の意見表明のなかで25秒を使って、こうしたWHOの台湾排除の問題点を訴えました。
結果的には総会で、台湾のオブザーバー参加への審議は中国の強い意向によって延期され、同時に、総会の開幕式のとき、習近平がオンラインで短い演説を行い「今後2年にわたり、WHOを通じて世界の貿易努力をサポートするために20億ドルを支援する」と表明したという段取りは余りに露骨で、結局、WHOはチャイナマネーに手懐けられ中国の宣伝機関に成り下がっているということが世界中に露呈されました。因みに、これも日本のマスコミは一社も報道していません。総会がネットで配信されていたにもかかわらずです。
ちなみにこの夜、トランプ大統領がテドロス事務局長に送った書簡の中身をぶちまけていました。「もし、WHOが30日以内に実質的に改善できないのであれば、米国はWHOに対する拠出金を恒久的に停止、米国もWHO脱退も考えている」。
台湾は2019年12月末の段階で、中国でSARSのように人-人感染を伴う感染症が起きている可能性について警告の書簡をWHOに送っています。しかし、WHOはこれをまともに受け取らず、中国の報告を鵜呑みにして1月19日まで人-人感染の証拠はないという立場を維持していました。このことが、その後のパンデミックにつながったのではないか、という疑いは各国の専門家たちも共有しています。
中国の政治的立場を忖度するあまりに台湾を排除し続け、結果的に世界中の人々の健康と生命を危険にさらしたとしたら、WHO自身がWHO憲章を裏切ったことになり、その存在意義はなくなってしまいます。そしてWHOと関係ない台湾が、世界に先駆けて感染を鎮静化させたのだったら、台湾の予見と判断はWHOより正しかったとなり、台湾の知見が共有できる新しい保健衛生機関があれば、そちらの方が世界に貢献できるでしょう。
続く
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