時事

下記の日経新聞社の報道が確かだとしたら、日本企業の生末は悲観的ですね。「企業の健全な成長は中国経済の持続可能な発展とは切り離せない」ということは、健全でない、あるいは大いなる計画変更を伴わなければ中国からは撤退できないということで、この言葉を見る限り、中国に制裁が加わり、それに及ぶ日本企業にも制裁が加わらない限り、中国からは撤退する気がないということです。



中国市場しか頼れない 依存脱却 目指してもなお

コロナ後の習政権(3)

2020/6/3 2:00 (2020/6/3 5:12更新)

日本経済新聞 

4月の中国での生産台数が前年同月比プラスに戻ったトヨタ自動車。ライバルよりも早いフル稼働で、コロナ禍後のマイカー特需をつかんだ。いまや感染拡大が中国から世界中に広がり、「世界最大の中国市場だけが頼り」(トヨタ中国拠点幹部)となった状況。「1台でも多くお客様に届けよう」。中国本部長の上田達郎は北京から中国の各拠点へ指示を飛ばす。

「中国の自動車産業の長期的な発展に対する自信は全く揺らがない」。トヨタと合弁を組む国有自動車大手、広州汽車集団の董事長、曽慶洪の鼻息は荒い。新型コロナの「震源地」である湖北省武漢市にも5月27日、一時帰国していた日産自動車などの社員約140人を乗せたチャーター機が関西国際空港から到着した。現地での生産販売の拡大に動き出した。

中国側も国内生産を早く回復させたい習近平(シー・ジンピン)指導部の意向をくんで、外国企業に手を差し伸べる。

半導体の後工程を手掛けるマレーシア企業のカーセムが江蘇省蘇州市に構える現地拠点。4月5日、3週間足らずの突貫工事で増強した設備が動き出した。「本拠地マレーシアからの生産移管だったが、なんとか間に合った」。現地統括の李操権は、ほっと胸をなで下ろした。

新型コロナウイルスのまん延をうけ、マレーシア政府は3月18日に事実上の都市封鎖に乗り出した。カーセムの本社工場も操業を停止。李は本社から生産移管の命令を受けた。期限は4月5日。遅れれば、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)への製品供給に支障が出る。中国の大口顧客を失えば、カーセムの収益の屋台骨も揺らぐ。

ただ、蘇州工場の生産能力を引き上げるには電力が足りないことが判明。李はすぐさま国有送電会社の国家電網に窮状を訴えた。同社は「保供戦(電力供給拡大を請け負う戦い)」の専門チームを立ち上げた。4月初めの連休である清明節も返上して送電網を整備し、カーセムの生産移管を支援した。

コロナ禍をきっかけに、日米では中国依存のサプライチェーンを見直す政策が動き出している。ただ世界を見渡せば、経済に回復の兆しが出ているのは中国くらい。キヤノンの中国トップの小沢秀樹は「企業の健全な成長は中国経済の持続可能な発展とは切り離せない」と語る。企業は中国抜きの戦略を立てられない。(敬称略)