時事

令和がはじまり新聞、雑誌、テレビの報道も少し落ち着いたでしょう。いい時代になってほしいものです。

さて、長い長い休みが明け、数々の政治課題が山積みです。連休明け後の政治日程はどうなるのか。残りの国会での争点となっている「消費増税の判断」「G20」「GDP速報発表」「日銀短観発表」「参院選の行方」など、連休明け以降に想定される政治的に大きな項目について考えてみます。

前に書いたように、連休明け直後の国会では、大きな政治課題はありません(笑)。意図的に予定を組んでいない本国会の意味は「海外情勢の不安」です。一時は統計不正問題が国会の火種となりましたが、統計不正問題は、手続き面では酷かったものの、統計データへの実害は「誤差」と呼べるものであり、また、野党とマスコミが統計に関する知識が乏しかったために、的外れな質問しかできませんでした(その反省はないようですが)。世間の批判も一段落し、いつものことながら忘れ去られていますが、このままではいけません。

一部野党とマスコミはこの問題にまったく不勉強であることを自ら晒し、数字を取り上げて正しく読むのが無理という人ばかりだったため、本当の問題点をまったく追及できませんでした。テレビのコメンテーターの解説を聞いていても、統計学から見れば理解できないほどに酷いものがいくつもあり、数字の読み方が分からない人が、問題の本質を分からないまま解説をしても視聴者にはサッパリ響かなかったでしょう。

昨年モリカケ騒動が起こった時と同じく、一部野党とマスコミは安倍政権に対してまったく的外れな追及を行い、結局なにも出てこなかったので、「また無駄な追及をしているのか」と思った人も多いと思います。

そもそも今国会ではめぼしい法案もなく、もともとがスカスカのスケジュールでした。これは「場合によっては、衆議院を解散して、参院選とのダブル選挙もありうる」という事態を想定していたためです。

ただし、スケジュールがダブル選挙を想定して組まれていたとしても、実際にダブル選挙を行うかどうかは別問題で、安倍総理はいま、内外の諸情勢を見極めながら、ダブル選挙をすべきかどうか考えてらっしゃるはずです。

ちなみに、令和を迎えたのちのフジの独占インタビューにおいて、安倍総理は「衆参ダブル選に打って出る可能性は」との質問に対して、「頭の片隅にもありません(苦笑)」と答えています。伝統的に、政治家は「解散についてはウソをついてもいい」と言われています。解散について問われると「頭の片隅にもない」と答えるのは政治家の定番ですが、かつてそう答えた某政治家は、実際に解散総選挙を行った際に、「頭の片隅ではなく、真ん中にあった」と冗談とも本気ともつかない言い方をしたとされていいます。つまり、「頭の片隅にない」という発言それ自体、なんの判断材料にもならないということです。

さて、連休後最も注目されていた5月13日に発表される「3月景気動向指数」は、昨日書いた通り「滅茶苦茶」でした。これは、複数の他統計数字から機械的に指数を算出するもので、統計官などの意思は働きません。これまでの他統計を見る限り、3月の景気判断は「悪化」となるのは目に見えてました。

景気動向指数(一致系列)は、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数(調査産業計)、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業、前年同月比)、商業販売額(卸売業、前年同月比)、営業利益(全産業)、有効求人倍率(除学卒)を採用し、これらから機械的に算出しているものです。


景気動向指数(一致指数)のデータを素直に見る限り、2014年4月の消費増税の悪影響はその前後ではっきり出ており、そこが景気の「山」となっていて、2016年6月あたりで「谷」を迎えています。そして2017年12月あたりが「山」となり、またそれ以降下降しています。これは、効果のラグを考慮すると、2016年9月のイールドカーブコントロールによる金融引き締めの影響とも読め、そこに、最近の中国要因が加味されたとみるほうが適正でしょう。もっとも、政府の公式見解では、景気動向指数には消費増税やイールドカーブコントロールの悪影響は「ない」ことになっています(笑)。これまで何度も「消費増税と金融引き締めが景気悪化を招いている」と書きましたが、素人でも景気動向の変動図を見ればハッキリわかり、それでも政府の公式見解では「景気後退は安倍政権以降起こっておらず、いま現在もずーっと景気拡大が継続中」ということです。

今回の景気動向指数を踏まえ、安倍政権内でも10月に予定されている消費増税をどうするかという議論が表立って起きています。二階さんは身替わりが早いので「W選になれば総理を積極的に応援する準備がある」とコメント(笑)。新聞は、軽減税率を受けたいために、これまで消費増税の是非をほとんど報じてきませんでしたが、さすがにそうもいかなくなるのではないでしょうか。

そうした中で、5月26~28日にトランプ大統領が来日します。令和になって初めての国賓であり、新天皇に謁見する予定です。合わせて、日米首脳会談も行われます。なお、トランプ大統領は、6月28~29日にもG20に出席するために来日します。2カ月連続して米大統領が来日、先月は安倍総理が訪米、3か月連続で日米首脳会談が行われるのは異例中の異例であり、日米関係がかつてないほど強固になっているとともに、両国の行動が一致、言いようによっては「キツネとタヌキ」、「泥棒と警察」を演じていることが分かります。つまり、今回のアメリカが中国に課した25%の関税措置も、次に予定されている残りの大型関税も、安倍総理はトランプ大統領から早い段階で聞いており黙っていたという事です。

日米首脳会談では、北朝鮮などの安全保障問題、米中貿易戦争などの帰趨も当然話し合われ、北朝鮮問題では、日本の経済支援等が期待されるでしょうが、他国には支援の姿勢を見せる一方で、日本には消費増税という「自傷・自殺行為」を行っていいものかどうか、子供でも分かる話です。

さらに米中貿易問題の完全解決は当面困難とされるなか、世界経済にはかなり不安定な空気が漂うはずです。専門家と称する人々は「アメリカも返り血を浴びる」という理由で妥協するんじゃないかと言っていましたが、「戦争」というのは返り血どころか、自ら血を流すもので、今は武器ではなく経済ですが、ほとんどの世界の軍事関係者が言うように、いずれアメリカと中国は武力衝突する運命にあります。そのようななか、日本が世界経済の中で果たすべき役割は大きいにもかかわらず、消費増税を行い、世界から「世界経済をリードする」期待を裏切ってもいいのか、という論点があります。6月28~29日のG20を控えて、世界的スケールでの日本の立ち位置が問われることになるでしょう。

6月8~9日にはG20財務大臣・中央銀行総裁会議が、6月19~20日には日銀政策決定会合があります。そして、6月26日で今国会の会期末を迎えます。国内外情勢いかんでは、それまでに衆議院を解散している可能性もあるでしょう。その場合には参院とのダブル選挙となりますが、その候補日はG20直後の6月30日、7月7日、14日、21日です。

そして前述のとおり、6月28~29日には、大阪でG20が開催されます。日米、日露の他、日中首脳会談もあるかもしれません。そうした外交成果を掲げて、安倍総理率いる与党は、参院選もしくは衆院選とのダブル選挙を戦うことになるはずです。

なお、7月1日は日銀短観が発表になりますが、これが国会で争点になるのは、今国会が延長されている場合のみです。そこまで国会が延長されていれば、ダブル選挙は8月に行われる見通しですが、スカスカの国会で何を理由に延長するのか見えてきません。いずにしても、ダブル選挙の可能性は、6月30日から8月中旬まで、可能性が有るという事です。


最後に下記は産経の記事です。「平成の過ち」ではなく「増税の過ち」でしょ、バカも休み休みにしなさい。こんな経済界で大丈夫なんでしょうかねと言いたいですが、彼らの二枚舌と詐欺は情報化時代に化けの皮が剥がれます。増税で官益を増やしたい財務省、それを屁理屈捏ねて応援する産業界と学会。財務省のポチ学者を社外取締役に並べ、産学官の持ちつ持たれつの癒着は、刑法に引っ掛からなくても犯罪です。



「平成の過ち繰り返さず」消費税率上げ訴え 大阪で財政審地方公聴会

2019.5.13 20:38産経

 財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関、会長・榊原定征東レ特別顧問)が13日、平成18年以来13年ぶりの地方公聴会を大阪市内で開いた。榊原氏は「平成の過ちを繰り返さないよう、令和の時代の財政のあり方を改革したい」と述べ、消費税率10%への引き上げや社会保障制度改革の必要性を訴えた。

 地方公聴会は、財政健全化に向けた社会保障制度改革の必要性を周知させる狙いで財務省が開催。関西経済連合会の松本正義会長をはじめ関西の経済団体、自治体関係者らが出席した。

 今年10月に予定される消費税率10%への引き上げについて、榊原氏は基調講演で「受益と負担のバランスを回復しないと、将来世代の大きな負担になることは明らか」と強調した。

 パネルディスカッションでは松本氏が「財政健全化と経済成長は両輪」と述べ、消費税率15%への引き上げを検討するよう主張。大阪商工会議所の西村貞一副会頭は「中小企業にとって社会保障負担は限界に近い。給付が必要な人の範囲を限定するなど規律が重要」と訴えた。そのほか、大阪府や滋賀県などの知事、副知事から各自治体の国民健康保険制度改革の取り組みが紹介された。

 また、内閣府が同日発表した3月の景気動向指数の基調判断が「悪化」に引き下げられたことについて、榊原氏は公聴会後の記者会見で、「リーマン・ショック時のような状況にはない」と話し、予定通りの消費税率引き上げを求めた。