時事

日本の消費税が如何に非常識か見ていきます。そもそも、社会保障とは社会保障制度審議会の定義によると「国民の生活の安定が損なわれた場合、国民に安心できる生活を保障することを目的として、公的責任で生活を支える給付を行うもの」と記してあります。

生活を安定させるために給付される分野は、「所得」、「保健医療」、「社会福祉」、「雇用」などです。

2016年度の給付総額は116兆9027億円。給付の主な内訳は、医療38.4兆円、年金54.4兆円、福祉・介護24.1兆円等々。何を言わんとするかというと医療と年金で社会保障給付の8割を占めているという事です。

ここが大事なポイントです。国の社会保障制度と言うものは『所得再分配』という重要な役割があります。国民の所得格差を平準化し、最大公約数の国民が安心した生活が送れるように、所得の多い人が少ない人をカバーする仲介を国が担っています。

それを前提としてみた場合、社会保障の財源は何かと考えれば、自ずと「保険料」しかなくなるのです。具体的には健康保険料、年金保険料、介護保険料などを指し、保険料率は、所得の少ない人は少額で、所得の多い人は高額にすることによって所得再分配が機能しますし、年金保険料を高額に払ったとしても後々払った分は返ってくるので、「支払い」ではなく「一時払い返却」でしかありません。

このような社会保険方式は世界の常識であり、日本のように税金を投入する国など皆無。税を投入するという考えすらなく、審議された国もありません。日本は異常なのです。例外的に海外で行われるもの(それも一時的に)に、低所得者への所得補填、日本で言う生活保護が足りないときに所得税を増税し、増税分の税収を生活保護の財源にする場合があります。

一方、日本では2017年度予算で言うと、社会保障費121.3兆円に対して、46.9兆円も税金が投入されています。実に、社会保障全体の4割が税金が占めていることとなり、こんなバカげた国は有りません。

1012年に民主党が閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」の「消費税の社会保障財源化」の項目には次のように書かれています。

「社会保障の機能強化・機能維持のための安定した社会保障財源を確保し、同時に財政健全化を進めるため、消費税についての段階的引き上げを行う。その際、国分の消費税収について法律上全額社会保障目的税化するなど、消費税収については、その使途を明確にし、官の肥大化には使わず全て国民に還元し、社会保障財源化する」。

このように消費税を社会保障以外には使わないと明言されています。国民に消費税を増税しますが、すべては国民の将来の為ですとアピールしたんでしょうが、先に述べた通り、社会保障を消費税で賄うことは歪んでいます。「国家とは税」です。それは古代ローマから変わりなき真実で、税の根幹が歪むことで国家が歪むのです。先の述べたように社会保障制度というのは所得再分配機能を果たさねばなりませんが、消費税というのは、消費したモノやサービスに課税されるもので、低所得者ほど(子供や無収入者も含め)税負担率が高くなる逆進性の税ですから、所得再分配も逆行してしまいます。日本以外の世界中がこんなバカげたことをしない理由はそこにあります。言いてることと、実際に行われることは真逆で、税法や社会保障への知識のない国民を騙しているだけです。