時事

財政規律に拘るドイツが、リセッション前に早くも財政出動する雲行きです。ドイツ経済は中国と一体に近く、対中依存度は単に貿易だけでなくドイツ国内での中国資本を含めると、もはや抜き差しならない関係にあります。メルケルという左巻きの巨人やシュレーダーなどの社会主義者が政権を握り中国と神話を進めてきた結果です。中国がいくらデータを粉飾しようが貿易相手国のデータまで手が及びません。ドイツと中国は泥沼に沈んでいく状況ですが、しばらくは改善の兆しも無いでしょう。下記はブルームバーグの記事です。



ドイツ政府が財政出動準備、深刻な景気後退に備え緊急計画-関係者

8/19(月)

(ブルームバーグ): ドイツ政府は同国経済が深刻なリセッション(景気後退)に陥った場合に発動できる財政措置を準備している。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

非公開の協議だとして関係者が匿名を条件に述べたところによると、この措置は大規模な失業の発生を防ぐために国内経済を支え、消費者支出を押し上げることを目指すという。住宅のエネルギー効率を高めるための補助や短期雇用の促進、社会福祉を通じた所得増加策が検討されていると関係者は語った。

財政均衡にこだわる厳格なドイツの政策姿勢は和らぎつつあるもようだ。ショルツ財務相は18日、経済危機が生じた際には500億ユーロ(約5兆9000億円)の追加支出を用意できると示唆した。メルケル首相も先週、ドイツ経済が「困難な局面に向かっている」との認識を示した上で、「状況に応じて」対応すると述べた。

ドイツ連邦銀行(中央銀行)は19日公表した月報で、同国経済がリセッション(景気後退)に陥ろうとしている可能性があると警告した。

関連ニュース:ドイツ経済にリセッションのリスク、2四半期連続縮小も-独連銀月報

原題:Germany Readying Stimulus Plan as Contingency for Deep Recession(抜粋)




さて、もう一つ。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入規制緩和に関するニュースが、一部のメディアで取り沙汰されています。現在、企業型DC(確定拠出年金)に加入している会社員716万人の多くは、制度の事情でiDeCoに加入したくても加入できずにいます。政府は2020年度の税制改正要望に制度改正を盛り込み、会社員が誰でもiDeCoに加入できるようにするという方針のようです。

金融庁の「老後2000万円不足」レポート以降、資産形成の制度について、なにかと取り上げられる機会が増えたiDeCoのメリットやデメリットはひとまず置いといて、この制度の運営にかかわっているのが、役人や元役人であることは、忘れてはいけない事実です。理由は毎度のとおり、役人は責任を足らない、その一点です。

バブル崩壊直後の'91年5月、国民年金法に基づいて設立された団体で、これは完全に官僚の天下り先になっています。国民年金基金は、国民年金しか基本的に受給できない自営業者の上乗せ部分として設けられている基金で、自営業では「歯科医師国民年金基金」「司法書士国民年金基金」など、業種ごとに国民年金基金があり、それを束ねているのが国民年金基金連合会と言う組織です。

厚生年金基金は、公的年金である厚生年金と異なる私的年金ですが、非常にずさんな制度と運営により、改組や解散が決定しています。これらを束ねていた厚生年金基金連合会は'05年に企業年金連合会に改組されました。

国民年金基金も同様に私的年金であり、加入者は減少しています。'04年3月末ピーク時の78・9万人から、'18年3月末で37・5万人と半減。厚生年金基金の失敗が明らかになり、国民年金基金サイドも私的年金の限界を感じ始めたのです。

こうした危機感を持った国民年金基金が、加入者増加の「秘策」として見出したのが、'01年に制定された確定拠出年金法に基づくiDeCoの普及です。

'16年の確定拠出年金法改正により、同制度の加入者は上記に述べたような制限もありますが、20歳以上60歳未満の全ての人に広げられています。その結果、加入者は'15年3月末で21・3万人から、'19年6月時点で127・8万人と急上昇している現状です。

こうした制度には当然カネの流れがあり、大きい事業になればなるほど額が膨らみます。iDeCoの諸手続きに伴う費用の一部(新規自動移換時手数料1029円、掛金収納等手数料1236円/年、新規加入時等手数料2777円)は、国民年金基金連合会の収入になります。

国民年金基金が天下り官僚の温床であることは、今に始まったことではなく、iDeCoが監督官庁である金融庁と厚生労働省の大々的なバックアップを受けるのは、「国民の老後の安心」を建て前に、手数料を稼げる「カネの成る木」として存在意義を見出されたからにすぎません。言ってみれば、官僚たちは国民よりも自分たちの老後のほうが心配なんです。iDeCo自体にケチをつける資料は有りませんが、その成り立ち、立て付けを考えれば、たんに金融庁と厚労省の天下り機関で、監査も緩く、歴史を振り返れば事故を起こす確率はかなり高いと見受けられます。国民の老後資産が天下り官僚の懐に入っているとしたら、誰だっていい顔はしないでしょう。