時事

昨日の続きです。

こうした韓国の行動は、アメリカからはどう見えているのか考えてみます。

朝鮮半島の社会主義化は、対中戦略として当然望ましくはありません。いまトランプ政権が注力しているのは、安全保障や経済などあらゆる分野での中国の覇権の阻止です。だから、韓国のGSOMIA破棄発表後も毎日のように韓国を批判し再考するように促しています。

ただし、こんな暴挙に出た韓国が、アメリカに言われたからと言って しおらしく反省する確率は低く、もともと感情で動く傾向のある国ですから、面子を重視して、愚行を続けるのが朝鮮民族の2000年の歴史です。そうなると、長期的戦略として、アメリカも別の手を考えます。トランプ大統領の公約である在韓米軍撤退の後のことで、もしかすると既にトランプ政権は「別のオプション」に着手しつつあるのかもしれません。

それは、北朝鮮の取り込みだ。安全保障上の策のひとつとして、「敵に回す(または敵側に取り込まれる)と厄介な勢力は、味方にするほうがマシ」というものがあります。孫子の兵法にも書いてあるもので、日本で一般には「敵の敵は味方」というやつです。


中国とロシアはアメリカへの対抗勢力なので、当然ながら取り込む事はできませんが、中ロの手下と思われている北朝鮮を取り込めるなら、アメリカにとっては対中ロの観点から有効です。しかも世界最貧国ですからコストも安い(笑)。

アメリカと北朝鮮は、これまで首脳会談を繰り返してきていますが、まだめぼしい成果はありません。いきなり急接近するとは当面考えにくいのですが、両国の長期戦略が今後の展開にも大きく影響することは間違いありません。

北朝鮮は現在の金体制の保障を、アメリカは北の核脅威の除去をそれぞれ望んでいて、アメリカにとって、アメリカ本土まで到達する核兵器は脅威ですが、そうでなければ差し当たっての問題はないのです。むしろ、北朝鮮をアメリカの友好国とできれば、北朝鮮の軍事力が中国にとっての脅威になります。かつて、社会主義国のキューバがアメリカの軒先にあったようなもので、韓国の代わりに北朝鮮を対中国戦略で使うこともできます。孫子の兵法で言う「裏取り」。オセロのように黒を白にすることで間にある黒を白にするのです。

しかも現在は、米ロ間の中距離核戦力全廃条約(射程500~5500km)が8月2日に失効したばかりで、射程500~5500kmの核ミサイルが野放図な状態に置かれています。米ロ間の条約が失効したのは、中国が何の制約もなくミサイル開発をしてきたからであり、その中国を抑えるためならトランプ政権に関わらずアメリカ議会は何でもやるでしょう。

その一環が毎日マスコミがトンチンカンなニュースを垂れ流す「米中貿易戦争」です。場合によっては、北朝鮮を取り込んでそのミサイルを中国に向けるという戦略があっても全く不思議ではないのです。

とは言うものの、北朝鮮をアメリカが取り込むのは容易でありません。北朝鮮は、中国と中朝友好協力相互援助条約を結んでいて、この条約は有名無実化しているという意見もあるものの真相は当事国の中朝しかわからないのです。20年ごとに自動的に更新され、次の更新は2021年7月。それまでに米朝首脳会談がどうなっているのか。トランプ大統領の再選選挙は2020年11月ですから、それまでには一定の成果が出ていると予測できます。

じゃあ日本はどうしたらいいのか。韓国が米韓同盟を離脱し、北朝鮮、中国、ロシアとひとかたまりになるのは、日本にとって最悪の状況を生み出します。韓国内の38度線が対馬海峡まで南下することを意味し、安全保障上、かなり危うい事態になります。反韓の人は「韓国とは断絶だ!」と騒ぎますが、断絶すれば防衛予算は現状の2倍以上、憲法改正も避けられないという事を認識しているとは思えません。今の日本としては、とりあえず北朝鮮との距離を縮めることが得策になってくるでしょう。

米朝首脳会談がうまく行けば、アメリカと北朝鮮は国交正常化へ乗り出すし、同時に安倍トランプ・ラインで日本も同一歩調をとっていきます。

ここまで書いたことはマスコミ情報しか知らない国民には荒唐無稽な考えかもしれませんが、世界状況は刻一刻と変化している現状を考えれば、現実かは半々以上の確率じゃないかと考えます。