時事
増税のニュース2点です。まずは上段の「読売に天下りした財務省官僚」を読んでから読売新聞社の「社説」を読んでください。書かれていることを要約すると「財務省から天下りを受け入れ、消費税を社会保障に使うというデタラメと財政再建が必要というデタラメを正しいかのように報道し、新聞を軽減税率対象にすることができたぞ!!」という話を、「知る権利」だとか、まるで左翼のような主張ですり替えた報道です。
元財務高官が続々天下る読売・日テレの狙いは
PRESIDENT
読売新聞社・日本テレビグループに財務省の元高官が相次いで天下っている。
6月10日、元財務事務次官の勝栄二郎氏が読売新聞社の監査役に就任したのに続き、6月27日には前財務次官で弁護士の真砂靖氏が日本テレビホールディングス(HD)と日本テレビ放送網の社外取締役に就任。元財務次官の読売新聞社監査役就任は、丹呉泰健氏(1974年入省)に次いで2代連続となる。
勝氏は75年入省。在任中は実力次官として辣腕を発揮し、今年4月の消費税増税のレールを敷いた。2012年に次官退任しIT大手の社長兼最高執行責任者(COO)に就任。読売監査役の丹呉氏のJT会長就任を受け後任に。また真砂氏は78年入省。勝氏の後の次官だ。
このほかにも、財務省の前身の旧大蔵省の元主計官、佐藤謙氏(その後、防衛事務次官)が現在、読売新聞社の調査研究本部特別顧問。さらに“ミスター円”こと榊原英資元大蔵省財務官も同じく調査研究本部の客員研究員を務めている。
読売・日テレは、旧内務省出身の正力松太郎らが社長を務めた経緯があり、官界との結びつきはもともと強いが、「官庁の中の官庁」財務省元トップは別格の存在。読売・日テレグループの狙いは何か。ライバル紙の編集幹部はこう見る。
「読売新聞グループ本社の渡邉恒雄会長は、新聞は文化財なので消費税の軽減税率を適応すべきと主張してきた。元高官の受け入れは軽減税率シフトではないか」
一方、別の新聞社幹部はこう話す。
「国税庁対策との見方もあります。国税庁は税務調査でマスコミ各社の記者の取材費の領収書まで細かくチェック。読売も07年に4億7900万円の申告漏れを指摘されるなど過去の税務調査で何度か痛い目に遭わされてきた。元財務次官が監査役だと国税庁もやりにくいはず」
だが丹呉氏が監査役だった昨年暮れ、読売新聞東京本社が東京国税局の税務調査で6900万円の申告漏れを指摘されており、この見方も憶測の域を出ない。
とはいえ読売新聞はTPPや集団的自衛権で安倍政権支持を鮮明に打ち出す一方、他紙に先駆けて内閣改造の可能性に言及し“読売政局”を創出。加えて財務省への“異常接近”だ。お門違いかもしれないが「報道の中立」は大丈夫?
読売新聞
社説
消費税10% 社会保障支える重要な財源だ
2019/10/01
◆軽減税率を円滑に浸透させたい◆
消費税率が5年半ぶりに引き上げられ、8%から10%になった。
社会保障制度を安定させ、財政健全化を進めるためには欠かせない増税である。得られる新たな財源を、国民の将来不安の軽減に生かさなければならない。
◆将来世代にツケ回すな
少子高齢化の進展に合わせて、社会保障費は着実に増えていく。これを支えるには、毎年安定した税収が見込める税が望ましい。
だが、法人税は、企業業績の浮き沈みによって増減する。所得税も賃金や雇用に連動するため、景気が悪化すれば大きく減る。
こうした税に比べて、消費税には税収が景気に左右されにくい特長がある。生活を維持するため、一定の消費が必要だからだ。
消費税は公平性も高い。所得税は、働く現役世代を中心に課税するのに対し、高齢者を含め商品やサービスを購入する人から幅広く徴収するためだ。
安倍内閣は、現役世代への支援を手厚くする「全世代型社会保障」の実現を主要政策に掲げている。
負担を現役世代にしわ寄せしないためにも、消費税の活用が重要である。
今回の引き上げで税収は約4・6兆円増える。このうち約2・8兆円を社会保障の充実などにあて、残りは財政再建に使う。
国の借金は1000兆円を超える。債務残高の国内総生産(GDP)比は主要国で最悪水準だ。将来世代へのツケ回しを避けるためにも、財政の立て直しは急務である。政府は消費税の重要性を丁寧に国民に説明するべきだ。
◆一段の引き上げ論じよ
民主党政権時代の3党合意で成立した社会保障と税の一体改革関連法で、消費税の段階的引き上げが決まった。2014年4月に5%から8%に、15年10月には10%になる予定だった。
安倍内閣は、14年は予定通り増税をしたが、その後は景気に配慮して2度、引き上げを先送りした。厳しい社会保障の財政事情を考えれば、ようやく税率10%にこぎ着けた意義は大きい。
増税は、国民に不人気な政策である。特に、消費税は身近な税だけに反発が起きやすい。税率の引き上げを任期中に2度も行った安倍首相の決断を評価したい。
ただ、先の参院選で、さらなる増税について「今後10年くらいは必要ない」と発言したのは残念だ。団塊世代が後期高齢者になる22年度以降、医療、介護など社会保障費の急増が見込まれている。
今後、社会保障制度の改革論議が本格化する。国民に痛みを求める給付の切り下げなどが焦点となるが、それには限界があろう。10%の先の税率引き上げに関する議論を、封印するべきではない。
景気には、しっかりと目を配りたい。前回の14年の引き上げ時には、駆け込み需要の反動減で個人消費が失速した。二の舞いは避けなければならない。
◆景気動向に目配りを
税率の引き上げ幅は前回より小さいが、油断は禁物だろう。政府は、幼児教育無償化や軽減税率などを実施する。減税や公共投資、中小店でのキャッシュレス決済を対象としたポイント還元制度などの経済対策も講じる。
施策の効果を浸透させ、円滑に乗り切ることが大切になる。
初めて導入される軽減税率は、外食や酒類を除く飲食料品と、定期購読される新聞の税率を8%に据え置くものだ。
消費税には、所得が低い人ほど負担感が大きくなる「逆進性」があるとされる。軽減税率には、生活必需品の税率を低くして痛税感を和らげる効果が期待できる。
軽減税率は世界各国で導入されている。欧州では、標準税率は20%前後だが、生活必需品は1桁の税率にとどめる国が多い。
日本でも、税率がさらに上がっていけば、軽減税率が痛税感を和らげる効果は一段と増そう。
来年6月までのポイント還元制度により、実質的な税負担が3%から10%まで、5種類も併存する点には注意が要る。消費者が戸惑い、店頭などで混乱が起きかねない。キャッシュレスに不慣れな高齢者らの不満も懸念される。
政府は、周知徹底とトラブル防止に万全を期してもらいたい。
新聞は、欧州などで軽減税率の対象となっている。民主主義や活字文化を支える公共財だとの認識が広く定着しているからだ。
日本でも、初めて新聞に軽減税率が適用される。正確な報道と責任ある言論を貫き、国民の知る権利に応えるとともに、豊かな文化の醸成に貢献していく。
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