時事

アメリカの対中政策は、すでに歴史的転換点を迎え、過去の政策を180度転換させています。アメリカの民間企業に損失が出ようと、共和党であれ民主党であれ、中国を封じ込める強いメッセージが至る所から湧いています。多分、選挙後はアリババなどの中国銘柄がアメリカの株式市場から締め出されるでしょうから、手持ちのアリババ株が大いなる頼りのソフトバンクは火の手が上がるかもしれません。経団連をはじめとする経済3団体も、寝ぼけた頭を冷やすか、危機管理ができる世代と交代すべき時期です。今後、中国と密なビジネスを進める日本企業もアメリカから制裁対象に挙がってくるでしょうから、自身の立ち位置を改めなおさねばキツイ罰が待ち受けることとなりかねません。

また、アメリカから現在の5倍の金額を要求されている米韓軍事協定で、文大統領は宿願の米軍撤退を迫る可能性があるようですが、その時が韓国消滅のカウントダウンの始まりとなるでしょう。ホワイトハウス、米軍はもとより、世界一のアメリカ市場から締め出されれば、あっという間に韓国は破産しますし、その兆しが見えればサムスンを筆頭に韓国の10大財閥はアッサリ韓国を捨てて米国籍に移行すると思います。韓国経済は10大財閥がGDPの6割を占める偏重した経済で、その10大財閥は米中市場で食べています。シェアこそ米中半々ですが、資本を支える金融は、ほぼアメリカ資本ですから、アメリカ市場の意向を無視して企業は立ち行かないのです。




寄稿】中国との大いなる対立

ペンス副大統領とポンペオ国務長官が示す新たなアプローチ

2019 年 11 月 8 日 15:13 JST

 米トランプ政権は中華人民共和国との根本的な決別に向かっている。この決別が現実になれば、ほぼ半世紀にわたった米政府の「関与(エンゲージメント)」政策がひっくり返されることになる。マイク・ペンス副大統領とマイク・ポンペオ国務長官が先月行った講演には、米政府高官の公的な発言ではめったに聞かれないような敵対的な言葉が含まれていた。

 「米国は引き続き対中関係の根本的な見直しを追求する」。ペンス副大統領は10月24日のウィルソン・センターでのイベントで、過去1年間に中国が見せた不穏な行動を詳細に説明した上でこう語った。

 ペンス氏の発言は、2018年10月の画期的な演説と実質的に違いがないと指摘する向きもある。しかしそう考える人たちは、中国が米国の働き掛けに応じることを拒否する中で、米国が断固たる行動を取る必要があることを同氏が辛抱強く立証しようとしていたことを見過ごしている。

 さらに言えば、ペンス氏が同じテーマを繰り返し主張していること自体が重要だ。それは、2017年12月に発表された国家安全保障戦略で明確に示された米政府の姿勢が、より強固になったことを示唆している。同戦略では、長年使われてきた「友人」や「パートナー」といった表現が捨て去られ、代わりに中国とその事実上の同盟国ロシアに対して「修正主義勢力」や「ライバル」という表現が使われた。

 ポンペオ国務長官は10月30日のハドソン研究所主催の夕食会で、より率直に語った。「われわれの2つのシステムの基本的な違いと、こうしたシステムの違いが米国の国家安全保障にもたらす影響を無視することは、もはや現実的ではない」。同氏は、中国を支配するエリート層は「闘争と世界支配を目指すマルクス・レーニン主義者の政党」に属していると指摘。「彼らの指導者たちの言葉」を聞けば、中国が米国に敵意を抱いていることが分かると述べた。

 まさにその通りだ。中国共産党の機関紙「人民日報」は今年5月、対米「人民戦争」の宣戦布告を行った。習近平国家主席は、10年以上にわたり、中国が世界で唯一の正統な国家だという考えをほのめかしている。中国軍の高官らは今、米海軍の艦船を沈没させ何千人単位で船員を死亡させることについて、公の場で喜々として語っている。

 世界には長い間、中国という一党支配国家が国際的なシステムの中で「責任ある利害関係者」になる時が来るだろうという期待があった。2005年にロバート・ゼーリック国務副長官(当時)はそう述べていた。米国の政策は、その移行を促し、中国の支配層を支援するというものだった。米国の大統領は中国の指導者の救済に乗り出すことさえあった。リチャード・ニクソン大統領は1972年、何年にもわたる文化大革命で中国の国力が弱まっていた時に北京を訪問した。ジョージ・H・W・ブッシュ(父)大統領は1989年の天安門事件の直後に鄧小平氏を支持した。ビル・クリントン大統領は中国経済が低迷していた1999年、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟できるようにする交渉をまとめた。

 こうした期待は、習氏が「中国の夢」や「中華民族の偉大な復興」を強引に追い求めるなかで打ち砕かれてきた。同氏は極めて差別的な規則の施行や、12月1日に発効予定の厳格なサイバーセキュリティー規則のような法規制などを使い、外国企業を中国市場から容赦なく締め出している。

 それと同時に、習氏は国営セクターを確実に「前進」させてきた。国営の大企業を再統合して1社ないし2社による独占状態を再現し、以前に行われた部分的な民営化の動きを転換させ、国に民間上場企業の株式を購入させ、好みの国営企業に補助金をつぎ込み、株式市場の変動をより厳しく制御し、「中国製造2025」といった貿易制限的な産業政策を通じた発展を追求している。

 習氏はまた、全体主義的な統制措置を導入しつつある。中国全土で来年開始予定の「社会信用システム」は、個人および企業の行為を常時監視し、国の基準に沿って採点する。2020年までには推計6億2600万台のカメラが市民を監視することになる。最悪なのは、信仰と少数派のアイデンティティーを中国から排除しようとする恐ろしい取り組みだ。それが最も顕著に表れているのが、多数の人々を収容所に拘束したり、教会やイスラム教礼拝堂を破壊したり、宗教信仰者などの臓器を収奪したりする行為だ。

 端的に言うと、習氏は毛沢東主義の新形態を実行に移そうとしている。一部の人々が「偉大なる回帰」と呼ぶ政策の結果、米国は中国の体制にあからさまな敵意を示すレーガン政権のような政策を取らざるを得なくなっている。

 ポンペオ国務長官の発言内容は、元英外交官で中国研究家のロジャー・ガーディス氏が指摘したように「画期的」だった。ガーディス氏によれば、ポンペオ氏の演説の驚くべき点は、同氏が何か新しいことを言ったということではなく――新しいことは言わなかった――米外交官のトップが政策演説で上記の内容を述べたことだった。同氏はまた、「一連の発言」でさらなる見解を明らかにする意向を示した。恐らく、かつて米外交官ジョージ・ケナンがソ連封じ込めの枠組みを示した1946年の「長文電報」や1947年の「X論文」のようなものを表明するのだろう。

 中国指導者たちは米国を引き続きうまく取り扱うことに自信を持っているように思われる。中国は時間稼ぎをしており、トランプ大統領がホワイトハウスから放逐されるのを待っていると指摘する人は多い。そうした対応は間違いだ。中国に対する敵意は極めて広範囲に拡大しており、来年の次期大統領選で誰が勝利を収めてもトランプ政権の強硬姿勢は継続されるだろう。民主党の大統領候補者らはホワイトハウスの対中政策を手当たり次第に批判しているが、ナンシー・ペロシ下院議長、チャック・シューマー上院院内総務など同党の有力議員は、関税問題をはじめとするトランプ氏の対中政策を総じて支持している。例えばシューマー氏は5月、トランプ氏に「頑張る」よう促し、「中国に勝つ唯一の方法は力」だと述べた。

 ペンシルベニア大学のアーサー・ウォルドロン教授(中国史)は、現在の状況が米国の南北戦争を想起させると指摘する。1864年5月、バージニア州フレデリックスバーグ近くで多数の戦死者を出した「荒野の戦い」の後、南軍の将軍たちは北軍の新たな指揮官であるユリシーズ・S・グラントが前任者らと同様、安全なワシントンへ後退すると予想していた。しかしグラントは、兵士らが歓声を上げる中、南下して猛烈な戦いを開始、それから1年のうちに北軍を勝利へと導いた。

 トランプ政権は東に向かっている。ウォルドロン氏は、南部の反乱を終わらせるためのグラントによる断固とした戦いは「過去のものではない」と言う。「中国は今が1864年だと理解すべきだ」