時事

下記はWSJのコラムで、在任期間を通じて親中的だったメルケルも、任期末期を迎え、ようやく目が覚めてきた中で、EUが一枚岩になって中国に対峙すべしという意見です。

資本主義というのは揺れやすく、一見脆そうに見えますが、最後には踏ん張るという、人の特性と似たところがあり、人と同じようにロジックだけでは説明できないところも多くあります。共産主義や社会主義というのは、正しそうに見えます。少なくともロジックは正しいのですが、それは人の世には適性がなく、非人間的な社会になります。

自分はリベラルだな、ちょっと左へ寄っているなと感じる方々は、できるだけ多くの本や論文を読んでください。右派は、以前は高段に構える人が多かったのですが、今は単純なバカが多く周りに害を及ぼしません。それに対して左派は「数字を含まないロジック」が正しいだろ!を他者へ害を及ぼします。ロジックというのは数字が合致してこそですが、マルクスが「ロジックと数字は別」などという屁理屈を捏ねて以来、左派は数字のできない阿呆の集まりになり屁理屈ばかり言うようになりました。現代の右派はバカ、左派は迷惑な人を指します。




オピニオン】中国は欧州にとっても問題

2019 年 11 月 26 日 13:07 JST

――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト

***

 インド太平洋構想に焦点を合わせると、大西洋をはさんだ米欧の同盟関係はどのように見えるだろうか。それは欧州諸国にとって、ドナルド・トランプ米大統領の予測不能な外交よりも悩ましい問題だ。冷戦時代は、欧州をソ連の脅威から守ることが米政府の最優先外交課題だった。それは、米国が欧州に部隊を展開することだけを意味するのではなかった。米政府は欧州の意見を真剣に受け止め、欧州勢と深く関わり、同盟の結束を維持するために欧州と合意を結び、譲歩に前向きの姿勢を示した。

 こうした状況の一部は明らかに変化した。次の米大統領は、トランプ氏の常識を無視した直感外交や、ナイジェル・ファラージ氏のようなブレグジット支持者やハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相のような反EU派への親近感を共有することはないかもしれない。しかし、次期米大統領は、欧州のさまざまな首相や大統領、委員や高官との外交交渉の儀礼的なセレモニーに関心を示すだろうか。日韓対立の解消や台湾海峡での中国との対立が米国の喫緊の外交課題に含まれる状況下で、欧州の重要性はどう見られるのだろうか。欧州からワシントンへの電話に対応する者はいるだろうか。

 域外にタヒチなどの領土を持つフランスは、自分たちは太平洋の国だと言うかもしれない。しかし、太平洋政策の重要な要素となるためには、そこに散在する島々以上のものが必要だ。それらの島々がいかに美しいものであってもだ。軍事的見地から言えば、欧州勢の力、そして北大西洋条約機構(NATO)そのものも、インド太平洋地域では大きな役割を果たし得ない。欧州のイデオロギーや手本としての欧州もそんなに魅力的には映らないだろう。植民地主義の記憶が強すぎる上、多くのアジア諸国の目には、低成長と厳しい規制に特徴付けられる欧州の社会モデルは、達成すべき目標ではなく、避けるべき落とし穴のように映っている。

 しかし、中国の存在感が大きくなる中で、米欧間の新たなコンセンサスが形作られつつある。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は先月、自国の次世代通信網「5G」に華為技術(ファーウェイ)の機器を使うのを認めた。これはメルケル氏の数少ない政治的失策の1つだ。米国はいつも通りの抗議と警告を行い、これをドイツ側も例のごとくはねつけた。しかし、事態はそこで収まらなかった。メルケル氏が率いてきたキリスト教民主同盟(CDU)の会合で、代議員らが反旗を翻し、ある決議を採択したのだ。それはドイツでのファーウェイの5G展開を阻止する連邦議会での投票につながりかねないものだった。通常はメルケル氏のCDUと連携する中道左派のキリスト教社会同盟(CSU)も、この決議に賛同した。中国企業にドイツの通信データを委ねることはできないと考えたのだ。

 EUと米国の中国に対する見方を一致させる取り組みは、完了したとはとても言えない状況だ。フランスは自国の5G計画からファーウェイを排除することを拒否した。他の欧州諸国の政府や多くの企業は依然として、バラ色のレンズを通して中国を眺めている。しかし、こうした見方は変わりつつある。米国民と同様に欧州市民も、香港の民主派の動きに共感を抱いており、中国政府によるチベット人やウイグル人の扱いに恐怖を感じている。ドイツ産業連盟は過去1年、中国のビジネス慣行を厳しく批判してきた。

 米国と欧州に関係強化を促す別の力も存在する。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領だ。プーチン氏は中国との本格的な同盟関係を受け入れたように思われる。クリミア併合から偽情報拡散による欧州選挙への影響力行使まで、ロシアの破壊的な目標は常に資金不足に悩まされてきた。これはロシアの力の投影が抱える問題の元凶となっている。一部のネオ孤立主義者の間では、欧州におけるロシアの活動は米国にとって戦略上の脅威というより、むしろ悩ましい程度の存在との認識が支持を得ていた。しかし、中国がギリシャや南部、東部欧州にわたって大規模投資を行っていることから、こうした認識は変化するかもしれない。ロシアと中国が同盟関係を強めれば、中国に重点を置く米国の外交政策にとって、欧州でのロシア問題がより重要なものになる。

 インド・太平洋は砂漠の中のラスベガスと異なり、そこで発生したものは広がっていく。中国の経済、政治、軍事面での活動がアフリカ、中南米、中東へと拡大する中、米国同様に欧州の権益も影響を受けるだろう。中国が進めるハイテク監視網と組み合わせた独裁的な統治方式の輸出は、欧州人と米国民の大半が価値観を共有する開かれた社会という概念に深刻な脅威となる恐れがある。

 人々は余りにも明白なことについて話すのを嫌がるが、国際政治とは世界全体にかかわる取り組みである。冷戦時代、米国の重点地域は欧州だった。しかし、日本と韓国は重要な同盟国だったし、両国の支援と助言がなければ、冷戦で勝利を収めるのはもっと困難だっただろう。

 真の問題はインド・太平洋をめぐる問題を米国があまりにも深刻に受け止め、欧州の古い同盟国を見放してしまうことではない。問題は、米国および欧州の人々が目の前にある課題の国際的な性格を認識するかどうかである。

 これについて筆者は楽観論者である。中国に起因する潜在的な脅威を十分理解している米国民はまた、欧州の助力なしに勝利を収めることが困難であり、おそらく不可能であることを認識している。米国民は中国について真剣に考えれば考えるほど、欧州についても一層配慮するようになるだろう。中国政府に関する米国の懸念を十分な規模の欧州市民が共有すれば、世界の政治の中心舞台がインド・太平洋にシフトしても、欧米の同盟関係は引き続き重要なものとなろう。