時事

昨日、一昨日に続き。

昨日まで書いたことを見直すと、現在の世界経済と世界の安全保障は、決していい環境ではないことは子供でも分かるはずです。これは、前回増税時の2014年4月と大きく世界の環境が異なっている、にもかかわらず増税を実行したということです。

安倍総理から見れば、消費増税を2度延期して麻生財務大臣の顔を潰したことを考え、3度も延期はできないとして、今年10月の消費増税に踏み切ったんでしょう。

もちろん、景気悪化の懸念はわかっていて、景気の回復基調を腰折れさせないよう、経済対策のパッケージを7月の参院選直後に示唆していました。

増税後にそれを吐き出すというのであれば、そもそも増税しなければいいというのが一般人の考えですが、政治家や官僚はそうは考えないのです。ですから、一番いい経済対策である「減税」というのは最初から頭になく「経済対策」となります。

経済対策の内訳は、国・地方合わせた財政支出が13.2兆円、民間支出も加えた事業規模は26兆円とありますが、いったい、どこまで効くのか。

この景気対策を受けてのマスコミ各社の社説は、以下の通り。

朝日新聞「26兆経済対策 必要性と効果の精査を」

毎日新聞「13兆円の経済対策 規模ありきのつけは重い」

読売新聞「経済対策 効果のある事業に絞り込め」

日経新聞「「賢い支出」なのかをしっかり監視したい」

産経新聞「経済対策 効果を吟味し具体化図れ」

いずれの社説も、財政再建を考慮し、大盤振る舞いに疑義を呈しています。

これだけの経済対策をする場合には、財務官僚が各マスコミをまわってレクするのが通例で、もし今回もレクをしたのであれば、対策そのものに財務省が積極的でなかったのでしょう。社説の多くは、景気悪化の意識はそれほど感じられず、財政再建のほうに注意が向いているのをみれば、財務省はとことん経済成長は信用せず、国民の税金で財政再建、それに伴い天下りの3本柱です。


今後について結論から言いますが、新聞社説とは逆に、この景気対策では全く足りません。補正を出すのが遅れたために、同じものをあと1回、ないし2回はやらなければなりません。

現実の日本の財政は、このブログを読んでればわかりますが、それほど心配する必要はなく、なにしろ、今はマイナス金利環境なので、国債発行は将来世代へのツケとはならないのです。ですから将来投資をするには絶好の環境をアベノミクスで作り出したのにもかかわらず、宝の持ち腐れとなっています。

公共投資の割引率はここ15年間4%に据え置かれており、計算では本来採択すべき必要な公共事業は、現状の3倍程度もあります。逆に言えば、今の建設国債は必要額の1/3程度しか発行されていないこととなり、麻生さん、ちゃんとバカどもの監視してくださいよという話です。

MMTのようなエビデンスも数式も無い空理空論ではなく、現実に即した割引率によって実際に公共事業要求をしたほうが、予算獲得のためにははるかに有効です。財務省には、「予算要求なければ予算査定なし」という言葉があるように、合理的な予算要求があれば査定しなければいけなくなるので、適切な割引率に基づく費用対効果をきちんと示して要求すれば、断り切れないはずなんです。

こうした合理的な財政支出拡大を行えば、自ずとデフレ脱却にもつながります。

今回の消費増税は、物価への影響で考えると、年間で0%台半ばのマイナス効果がある一方、今回の景気対策では1%程度のプラス効果があります。

足下のインフレ率は0%程度。今回の補正予算のタイミングが遅くなったこともあり、今回と同規模の景気対策をもう1、2回打たないと、デフレ脱却はどころではなく、デフレ再突入になります。幸いにも今はマイナス金利なので、上に述べた割引率を実際に活用すれば、当初予算でも建設国債の大増発は可能です。「100兆円基金」を作っておいて、今後の公共事業に備えるというのも一案である。すべては、来年の通常国会に提出される当初予算と補正予算のできばえ次第ですが、聞こえてくる声はショボい話ばかり。皆さんいったい、何のために議員先生になったんですか!?