時事
昨日の続き。
一方、イランの方も引くに引けず、しかも、イランの取れる報復手段も多岐にわたります。
まずイランは、イラク、シリア、レバノンなどの周辺国に影響力を行使できるので、さしあたりイラク国内で、米国人や米国軍人に脅威を与えることができます。イラクの米大使館近くへのロケット弾着弾は、その兆候でしょう。
欧米の発電所など公共施設へのサイバー攻撃も可能ですし、ホルムズ海峡の封鎖という手もあります。これらの後には、イスラエル、サウジアラビアに対するミサイル攻撃、全面戦争までオプションが豊富なんです。
ホルムズ海峡の封鎖が行われれば、日本を含めて世界経済に大いに悪影響が出てきます。
今のところは米国・イランともに、全面戦争よりも相手が引き下がることを望んでいますが、両国の政治情勢を考えると、そこで踏みとどまれるのか不透明です。
この2020年は(1)米中貿易戦争、(2)ブレグジット、(3)ホルムズ海峡有事、(4)日韓対立という国際環境悪化の中で、消費増税の悪影響が出てくると何度も書いています。特に、東京五輪終了後から、景気が一気に下り坂に入る可能性があり、あわせて(1)の米中貿易戦争は11月の米国大統領選まで本格的な解決が難しいこと、(2)のブレグジットは1月末で確定していますが、同時に英国経済の不調も確定していること、(4)の日韓関係は韓国で文在寅政権が続く限り改善しないことは、周知の事実です。
(3)のホルムズ海峡有事が顕在化しないことを日本中が祈るべきですが、その期待は残念ながら外れるかもしれません。特にホルムズ海峡は、湾外地域に石油の8割を依存している日本経済の生命線です。日本の石油備蓄は200日分以上あるので当面の心配はありませんが、米国・イランの紛争が長引くと、日本経済にも当然影響が出てくるので要注意です。
ホルムズ海峡有事によって石油備蓄がなくなれば、石油の供給ショックが起こる。その経済分析は以下の通りです。
供給ショックにより、総供給線がS0からS1にシフトし経済がE0からE1に移行するので、GDPが下がり物価が上がる。これに対する政策対応は、総需要政策を行い、総需要をD0からD2にシフトさせることです。その結果、経済はE1からE2に移行し、GDPが戻り物価が上がります。
今はデフレ気味なので、多少物価が上がっても問題ありませんが、GDPが下がると雇用環境が悪くなるので、それを避けるのが政府の役割です。そのためには、公共投資増などの総需要創出が必要なのは言うまでもありません。
1月20日に通常国会が召集されます。冒頭で補正予算が審議されますが、もともとそれだけでは足りないのです。現在の厳しい状況を考えれば、今年中にあと1、2回補正予算を打つ必要が出てきたと言えるでしょう。
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