時事
日本以外の国では、検査態勢が必ずしも十分とは言えません。例えば、中国の周辺国である北朝鮮では「感染者なし」とされていますが、これはかなり怪しいデタラメです。交通を遮断しているのは事実でしょうが、普段から中国と北朝鮮は緊密に人的物的交流をしていて、経済制裁中の北朝鮮にとって中国は生命線ですから、感染者が北朝鮮に入っていなかったとは考えにくく、北朝鮮政府は感染者はいないとしたいというだけの話で、実際、海外の研究者には、すでに北朝鮮には感染者がいるとする見解も多数あります。
栄養事情の悪い北朝鮮では、新型肺炎の拡大は国家としての非常事態です。もしかすると最近、北朝鮮の動きが目立たないのは、新型肺炎の予防に必死なことが主たる理由かもしれません。
一方、日本は医学の発達した国であり、感染していない人も含めて調査も行われています。そのため、周辺国の中では感染者が多く報告されているといのが現状であり、日本の医療や政府が怠慢だから多くの患者が出たと考えるのは世界を知らない無知というものです。
感染していない人も含めた調査の一例が、中国湖北省武漢から政府チャーター機で日本に帰国した人たちです。帰国者数は565人、そのうち感染者は9人でした。視聴率を少数サンプルから推計する方法を統計数学で計算すれば、武漢市では少なくとも6.6万人~29万人、間をとって18万人程度が感染者になっていると大まかに推計できることになり、中国政府が発表している「中国全土で9万人」という数字が眉唾だとわかります。昨年12月初めに武漢で感染者が出た際、それを隠蔽した前歴もあります。
7日、中国湖北省武漢市の医師、李文亮さんが亡くなりました。同氏は、早い段階から新型肺炎に警鐘を鳴らしましたが、中国当局から「デマを流した」として処分を受けています。同氏への追悼運動も起ころうとしていて、中国当局は警戒しているという報道もあります。2017年7月に獄中死したノーベル平和賞受賞者の民主活動家、劉暁波氏と同じ動きになることを嫌っているのです。
中国で感染者数の数字が出始めたのは、1月20日から。それより前から感染者はいたのに隠蔽されていたわけです。高橋教授が、武漢市全体の感染者数の推計と1月20日段階で既にいた感染者数の推計に基づき、想定する真の感染者数を描いた図が下記です。
今のペース(検査できる範囲)でも、あと30日程度は感染者数の増加ペース(加速度)は鈍化しそうにない、という結論が導き出されます。
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